定期券客減少率でわかる「テレワーク進んだ沿線」 20年度増減ランキング、傾向がくっきりと判明

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ラッシュ時のターミナル駅改札。大手私鉄16社の定期客数はコロナ禍で大幅に減った(撮影:今井康一)

大手私鉄16社の2021年3月期(2020年度)決算が出そろった。同時に各社の輸送人員の状況も発表された。

コロナ禍で各社とも輸送人員を大幅に減らしているが、各社を比較してみると興味深い事実が浮かび上がってくる。

輸送人員のうち、2020年度の定期客数を前期と比較してみると、定期客の増加率1位は阪神電鉄のマイナス15.9%だった。コロナ禍のさなかであり、1位であってもマイナスなのはやむをえない。2位は南海電鉄のマイナス17.1%。以下、3位名古屋鉄道、4位西日本鉄道、5位近畿日本鉄道、6位阪急電鉄、7位京阪電鉄という順になった。名古屋以西のすべての大手私鉄が上位を独占したことになる。

8位は相模鉄道のマイナス23.4%。関東勢ではトップということになる。2019年11月に相鉄・JR直通線が開業し、「利用者数は計画を下回った」(相鉄IR担当者)とはいえ、その上乗せが多少なりとも貢献したといえる。以下、9位京成電鉄、10位東武鉄道、11位京急電鉄、12位西武鉄道、13位東京メトロ、14位小田急電鉄、15位京王電鉄、16位東急電鉄という順である。

「東西の差」なぜ生まれたか

コロナ前の2018年度の定期客増加率は1位が東京メトロの2.2%、以下、2位京阪、3位京成、4位阪神。下位は12位阪急、13位東武、14位相鉄、15位南海、16位近鉄となっており、東西の私鉄が入り乱れていた。

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なぜ、コロナ禍における定期客ランキングがこのように関東と西日本でくっきりと分かれたのか。東急の藤原裕久常務は5月13日に行われた同社の決算会見で、鉄道の定期券利用客の落ち込みが最も大きかった理由についてて、「テレワークの普及が関係しているのではないか」と話した。

テレワークや在宅勤務が進めば、その分だけ通勤客が減る。「渋谷はテレワークをしやすいIT企業が集積している」(藤原常務)。渋谷にはグーグル、サイバーエージェント、ミクシィなどの有名IT企業がずらりとオフィスを構え、アメリカのIT集積地「シリコンバレー」になぞらえて、「ビットバレー」の異名を持つ。そのため、ほかの路線よりも定期客の減少度が高くなった可能性がある。なお、東急には東横線、田園都市線、目黒線など複数の路線があるが、「とくに東横線の減少が大きい」(藤原常務)という。

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