定期券客減少率でわかる「テレワーク進んだ沿線」

20年度増減ランキング、傾向がくっきりと判明

ワースト2位の京王、同3位の小田急は新宿をターミナル駅とするが、新宿にもテレワークになじみやすいサービス産業が多く集まる。

つまり、定期客の増減とテレワークには相関関係があるといってよい。ニッセイ基礎研究所が昨年12月に公表した調査結果によると、テレワークを実施している企業の割合を地域別に見ると、関東が41.5%で断トツのトップ。2位は近畿の29.0%だが、関東と近畿では10ポイント以上の開きがある。この調査結果を踏まえると、テレワークが比較的普及している関東の私鉄の定期客が大きく減少し、関東ほどテレワークが普及していない西日本の私鉄の定期客減少率が関東ほどではなかったというランキング調査結果の説明がつく。

なお、在宅勤務によって定期券を買わなくなった人がまったく会社に出社しないわけではなので、出社する日に切符を購入する。つまり、定期客の一定程度が定期外に流れていることになる。東急の2020年度における定期外客の増加率はマイナス29.6%で、相鉄に次ぐ2位である。定期外には買い物、レジャーといった要因も含まれ、2019年11月に開業した南町田グランベリーパークの集客効果など沿線内移動の高まりが理由の一つであることは間違いないが、テレワークによる定期から定期外のシフトという要因も多少なりとも影響していそうだ。

コロナ後の利用促進策は?

コロナ後にこれまでのような通勤需要は戻らないというのが鉄道各社の共通認識である。そこで各社は新たな時代における利用向上策を模索している。有料着席列車の導入拡大はその1つ。混雑を避けられるだけでなく、乗車中にパソコンを使った仕事もできるため、コロナ禍でがぜん注目が集まった。

経営が厳しい中、有料着席列車として活用できる車両を新たに導入する会社が少なくない。東武は1編成3両固定を併結・分割できる500系「リバティ」を今期中に6編成新造して17編成とする。京王は「京王ライナー」として使われる5000系を2022年度下期に1編成追加導入する。

東急は、現在大井町線で実施している有料着席サービスの拡充を目指す。東横線や田園都市線への展開が考えられるが、両線とも他社線と乗り入れをしているため、導入は一筋縄ではいきそうもないが、実現すれば両線の利便性はさらに高まる。

同社は定期券保有者を対象に、モバイルバッテリーや傘、電動キックスケーターのシェアリングサービスを提供するなどの実証実験も行っている。こうした定期券保有者のつなぎとめ策は今後もさまざまな鉄道会社から出てくるはずだ。

コロナ後に「選ばれる路線」になるためには、資金や手間を惜しむわけにはいかない。

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