ソニー「背景をぼかす」のとってもシャープな切り口!!《それゆけ!カナモリさん》

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 実はこの撮影方法、ちょっと写真をかじった人間であれば、そんなに難しくない。中・高と写真部にも属していた筆者が解説すると、基本はレンズの絞りを開き、シャッター速度を速めること。つまり、ピントが合う範囲・被写界深度を浅くすることで、狙った部分と前後に距離がある場所はぼけることになる。

 しかし、全自動のカメラではなかなかそれはできない。簡単にやるなら、人物写真ならズームを望遠にして、さらに被写体の背景を遠くにすれば結構いい具合にぼける。だが、うまくそんな状況設定をするのは難しかったりする。

 「面倒な手間をかけずに、いつでも“プロっぽい写真”を撮りたい!」という、多くの人のニーズに応えたのが「背景ぼかしコントロール」なのだ。カメラを映したいものに向け、液晶画面横の「コントロールホイール」を回せば、好みのぼけ具合が無段階で調節できる。あとはシャッターを押すだけ。確かに仕上がりはプロっぽくなる。北川景子バージョンのコピーである「背景をぼかす。心が動きだす。胸が高鳴る。」になってしまうわけだ。

 ではソニーはなぜ「ぼかし」だけを訴求してきているのか。それはこのカテゴリーの顧客特性と関係がある。

■ソニーのお家芸

 この超小型カメラカテゴリーは、従来の一眼レフとは違い、コンパクトデジカメからの買い替え層という新たなユーザーを取り込んで大きく成長している。前掲の東洋経済の記事では、一般的に一眼カメラの女性比率は1割といわれるが、超小型では3割に上ると分析、料理写真の撮り方講座に女性が集う様子を紹介している。

 「背景ぼかし」の機能は、αのだけのオリジナル機能ではない。例えば、筆者も所有している「キヤノン・EOS Kiss X3」。ミラーレスではなく従来型の光学ファインダタイプではあるが、エントリーモデルの一つだ。撮影モードを選んで、おおよそのぼけ具合を段階的に設定できる。しかし、少々手間がかかることと、液晶ファインダーでそのぼけ効果を見ながら撮影できるわけではないので、本当の初心者が使いこなすことは難しいだろう。

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