有力新薬を相次ぎ投入し国内ナンバーワン目指す--第一三共次期社長 中山讓治
--ホームグラウンドの日本市場ではどんな戦略を立てていますか。
現在、全国各地の支店を回り、営業の第一線の人たちと対話を続けている。その次には研究開発の第一線と話をしていく。私が社員に訴えているのは、「今期からの3年間で日本を代表するナンバーワンカンパニーになろう。シェアでトップになろう」ということ。もう一つは、四つの事業分野(新薬、OTC医薬品、ワクチン、後発医薬品)を、うまくマネジメントすることだ。
国内では今後3年間に、有力な新製品の発売が相次ぐ。インフルエンザ治療薬のラニナミビルやアルツハイマー型認知症治療薬メマンチン(ともに申請中)や骨粗鬆症・がん骨転移治療薬デノスマブ(現在、フェーズ�段階)など、期待の大きい新薬を投入していく。前回の中計期間(08年3月期~10年3月期)は製品の返還や新薬の不足などで国内営業は苦戦を強いられたが、新中計期間では攻勢に打って出る。
社員相互の対話を重視 研究開発体制を刷新
--ワクチン事業にも関心が集まっています。新たに承認されるワクチンは外国産ばかり。日本企業としての頑張りが必要です。
まったく同感だ。ワクチンは国内供給が十分ではない。現在、新型インフルエンザは弱毒性にとどまっているが、今後の重篤化のリスクを踏まえてきちんと取り組むことが私たちにとっての責任だ。ワクチン開発・販売では仏サノフィパスツール社と合弁会社を設立したほか、包括的な提携関係にある北里研究所の供給能力向上に努めていく。
--がん領域の充実も課題です。
現在、フェーズ�以降では、抗体医薬で三つ、低分子化合物で二つの新薬候補を持っている。今後も充実が課題だ。ドイツのU3ファーマを買収したほか、米ナスダック上場のアーキュール社と研究開発・販売で提携した。財務体質を強化しつつ、M&Aに関しても積極的に手掛けていきたい。ただ、がん関連企業の買収コストは全般的に高く、なかなか思うようにはいかないのも事実だ。