災害が多発する地球と「人新世」が未来に残す痕跡 コロナ禍が問いかける現代の物質文明のあり方
豪雨や森林火災、そしてコロナ・パンデミック。地球は今、私たち人類によって大きく変容し、さまざまな問題を抱えている。では、遠い未来に、私たちの文明はどのような痕跡を残し、どのように記憶されるのだろうか?
5000万キロにわたって延びる道路、放射能で2万年後まで住めない土地、10万年後も残り続ける二酸化炭素、膨大なプラスチックごみ……。私たちのはるか未来の子孫たちは、人新世が残したどのような「化石」を発掘することになるのだろうか?
今年5月に日本語版が刊行された『FOOTPRINTS(フットプリント) 未来から見た私たちの痕跡』について、神戸大学大学院国際文化学研究科教授の塚原東吾氏が解説する。
災害が多発する現代の地球
私たちは、すでに多くの気候災害が起こっている時代に暮らしているようだ。
ここ数年を振り返ってみるなら、2018年には広域での豪雨が多くの被害をもたらし、岡山の真備町や広島県呉市では大規模な浸水があって、14府県で200名以上が亡くなった。
2019年には台風が日本各地を連続して襲い、河川の氾濫を引き起こし、新幹線が水没した。2020年にも前線の活発な活動で、熊本県球磨村や岐阜県下呂市で大きな被害があった。
そしてまだ記憶に新しい今年の夏も、日本では季節外れの前線の活動が活発で、熱海や九州の各地で土砂災害などが多発した。ここ数年で、「線状降水帯」という言葉もすっかり定着したようだ。
海外に目を向けてみても、ヨーロッパやアメリカでの森林火災はますます大規模化している。メキシコ湾のハリケーンや、ヨーロッパ中部での豪雨も例外的な事象と呼ばれるような規模になっている。
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