大注目の「イベルメクチン」効果はどれほどなのか 「家畜の寄生虫退治薬」に希望者が殺到している
CDCの研究者らは、イベルメクチンの使用に関し中毒対策センターへの問い合わせが激増していると話す。アメリカ中毒対策センター協会のデータによると、7月の問い合わせ件数は通常の5倍に達したという。
ミシシッピ州保健局は8月、州の中毒対策センターに寄せられた問い合わせの7割が、動物用医薬品の取扱業者から入手したイベルメクチンを摂取した人たちからだったことを明らかにした。
サウステキサス毒物センターの医長を務める毒物学者のショーン・バーニー医師は、イベルメクチンに関し同センターが2019年に受けた問い合わせは191件だったのに対し、今年はすでに260件に達したと話す。年末には390件に到達するペースだ。最近の問い合わせの圧倒的大多数は、新型コロナを治療したり予防したりしようとして動物用のイベルメクチンを摂取した人たちからのものだという。
「イベルメクチンの使用はやめて、ワクチンを接種するよう強くお願いしたい」とバーニー氏は懇願する。「現時点ではワクチンが最善の予防策だ。それ以外はリスクでしかない」。
吐き気や筋肉痛、下痢を訴える人も
バーニー氏によると、イベルメクチンを摂取し、センターに問い合わせてきた人の中には、吐き気や筋肉痛、下痢を訴える人もいた。過去には過剰摂取で死亡したケースもあるが、新型コロナと明確に関連していたかどうかはわからない。
家畜用の薬を使用する最大のリスクは、人間にとって適切なレベルをはるかに超える量を摂取してしまうことだとバーニー氏は言う。カプセル1つの含有量が、人間にとって適切な摂取量の10〜15倍になる場合もあるからだ。
イベルメクチンは1970年代後半に動物用医薬品として導入された。一部の寄生虫病治療でヒトに対する有効性を発見した研究は、2015年にノーベル生理学医学賞を受賞している。