コロナ禍の入院患者にWi-Fi環境が欠かせない訳 元フジアナ・笠井さん「孤独を救ってくれた」

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慈生会の老健「イルアカーサ」では今年2月、同じ足立区内で同会が運営している等潤病院(164床)では、それに先駆けた昨年12月、それぞれ無料Wi-Fiの環境が整備された。老健「イルアカーサ」では入居者とその家族らの面会で利用され、一方で、等潤病院では外来患者は1階外来待合エリアで、入院患者は病棟各階の談話室でWi-Fiが利用できるようになった。

Wi-Fi環境整備にあたり慈生会では、診療で使う医療情報システムと患者用Wi-Fiが干渉しない電波環境を設計した。電波は同じ周波数の波が同一空間で混在・衝突していると影響を与え合い、電波干渉といわれる通信障害を起こす可能性があるからだ。

Wi-Fiを含む無線通信で限られた範囲のネットワークを構築する、いわゆる無線LANはすでに多くの医療機関で使用され、医療情報システムへのアクセスやデータ転送など幅広い用途で利用されている。

慈生会ではWi-Fi環境を、全病室に拡大する選択肢もあったが、伊藤理事長は「病院は療養の場だという考えから、利用できる場所を制限した。それに、病棟の全病室が個室ではなく、相部屋の入院患者さんそれぞれが、互いに迷惑をかけないというマナーを守りやすいようにした」と説明する。また、患者が療養に専念できるようWi-Fiは、夜20時から翌朝8時までは利用できないようにした。

長期化するコロナ禍で約9割弱の病院が前向き

そこで最新の状況を把握しようと、メディカル・データ・ビジョンが8月23日から30日までに、全国の病院に、入院患者が家族らとの面会用などに使うインターネット環境についてWEBでアンケートしたところ、162病院から回答があった。

(グラフ:筆者提供)

それによると、「整備済み」が46.3%(75病院)、「検討中」が40.1%(65病院)となり、9割近くの病院が患者用ネット環境の整備に動き出している。

一方で、患者用ネット環境の整備を見送っている病院で、その理由としていちばん多かったのが、「費用対効果が不透明」だった。また、「医療情報システムとの干渉」への不安を挙げる病院もあった。

「医療情報システムとの干渉」などの問題について厚生労働省は、総務省の「Wi-Fi提供者向けセキュリティ対策の手引き」の中から、医療機関で特に重要と考えられる対策として4点を挙げている。

▽来訪者向けWi-Fiと業務用無線LANは分離しましょう
また機器管理用PW(パスワード)は推測されにくいものを設定しましょう
▽意図したエリア内に限ってサービスが提供されるように、
電波の出力等について適切に調整しましょう(電波漏れ等のリスク)
▽無線LANの暗号化PWを掲示等する場合は解読リスクがあることを認識しましょう
▽混雑を避けるために周波数やチャンネルをよく検討しましょう
(業務用Wi-Fiや患者持ち込みの回線との干渉リスク)
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