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大阪IR誘致、政府の「ソロバン勘定」は正しいか 外資と天下り組織に流れる日本人客の賭け金

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  • 柴田 直治 ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表
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売り上げでラスベガスを大きく上回る世界一の賭博の街、マカオのカジノは「ジャンケット」の存在抜きには語れない。

ジャンケットとは、主に中国人の金持ちを連れてきて特別な待遇で遊ばせる接待役だ。客が賭場で使った金の一部をコミッションとして受け取る。客が負ければ一時貸し付け、資金回収など一筋縄ではいかない裏方業務を担う。

上客を呼び込み、資金を移動させる彼らのノウハウと人脈がマカオを支えている。マカオのカジノの収入の半分近くはVIPルームで多額の金を賭ける「ハイローラー」に依存し、その多くはジャンケットを介しているとされる。

日本がモデルにしたシンガポールのIR

マカオのカジノ周辺には多くの美女が集まる。国籍や人種もさまざま。カジノで勝った客を相手に営業をかけるのだろう。彼女たちが客を吸引する力にもなっている。

日本はマリーナベイ・サンズなどシンガポールのIRを事業モデルとし、安倍晋三首相や橋下徹大阪府知事(いずれも当時)も視察した。この都市国家にはラスベガスやマカオのようにカジノが集積しているわけではない。

だが、東京23区並みの広さの国土に、観光客向けのアトラクションを含めた都市機能が凝縮されている。10年前に開業した2つのIRはランドマークとなり、国家ぐるみで誘致するコンベンションなどが集中的に催される利点は他都市にないものだ。

そこで私の疑問である。

ラスベガスもシンガポールも、魅力的な出し物が多数用意され、一般客をも引き込む吸引力が街全体にある。一方、大阪では中心部から離れた埋め立て地にIRがぽつんと立つ。開業は2025年の万博が終わった後だ。

単発のショーはあっても集積の魅力は簡単には高まらないだろう。さらに依存症対策として日本人には数千円のカジノ入場料を課すという。どこまでリピーターを獲得できるのか。

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【カジノの稼ぎの多くはハイローラーから】

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