大阪IR誘致、政府の「ソロバン勘定」は正しいか

外資と天下り組織に流れる日本人客の賭け金

2018年4月、IR事業者らと話す大阪府の松井一郎知事(当時、右から2人目)ら(写真:時事)

横浜市長選で現職が落選した。菅政権のコロナ対応への不満が野党推薦候補を当選に押し上げた面はあるが、最大の争点は現職の進めたIR(カジノを含む統合型リゾート)誘致の是非であり、横浜市民が明確にノーを突き付けた形だ。

内閣府副大臣(当時)だった秋元司衆院議員が収賄罪に問われたIR汚職事件やインバウンド客の激減など、カジノを取り巻く環境は厳しい。IRを進める菅義偉首相が推した小此木八郎・元国家公安委員長でさえ、誘致撤回を掲げざるをえなかった。

ところが、大阪では逆風も何のその、IR計画は着々と進められている。大阪府と大阪市、それぞれの議会を牛耳る大阪維新の会が迷いなく推進しているからだ。

業者の公募を早々と実施し、これに唯一応じたアメリカのカジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルとオリックスの共同チームが7月20日、投資総額1兆円、2028年の開業をめざすという提案書を府と市に提出した。

根強いIRへの反対論

政府は2022年4月までに全国で整備計画を募り、3カ所を上限に立地を認める方針だ。和歌山、長崎両県が名乗りを上げ、東京都の参入もうわさされているものの、準備万端の大阪は当選確実とみられている。

IRへの反対論は根強く、世論調査でも懸念する声が賛成を上回っている。朝日新聞社がIR汚職発覚後の2020年1月に実施した全国世論調査では、「政府は整備の手続きを凍結するほうがよい」が64%にのぼり、「このまま進めるほうがよい」の20%を圧倒した。他地域に比べ反対が少ないとみられる大阪でさえ、推進派は30%にすぎなかった。

汚職は論外として、カジノについて世間が抱く最大の懸念は、ギャンブル依存症の拡大であろう。新聞各社の社説もまず依存症を取り上げる。しかし、IR誘致をめぐる最大の問題点はそこにあるとは思わない。

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