岸田氏が出馬表明、自民総裁選に「大激戦」の予感 9月29日投開票、党員・党友含めた本格選挙に
岸田派は所属議員46人の有力派閥で、「国会議員20人の推薦」という出馬条件はクリアできる。今後、他派閥の支持者も含めて推薦人名簿を作成する方針だ。
出馬表明後、国会内で記者会見した岸田氏は、政治に対する国民の信頼が崩れ、民主主義が危機に瀕しているとして「政治生命を懸けてわが国の民主主義を守っていきたい」などと決意表明。
さらに、自民党活性化に向け、大胆な若返り人事の断行を主張。具体的には「党役員の任期は1期1年で連続3期まで」とすることで、過度な権力集中や惰性での党運営を排する考えを力説した。安倍前政権以来続く政治と金の問題では、「丁寧な説明と透明性確保」を強調し、得意の経済政策では宏池会創始者である故池田勇人元首相に絡めて「『令和版所得倍増』を目指す」と語った。
すでに総裁選出馬への意欲を示している高市早苗前総務相(無派閥)、下村博文政調会長(細田派)も26日、それぞれ20人の推薦人確保による出馬に意欲満々だ。下村氏は26日、記者団に対して「(推薦人の)確保はできているが、より多くの方々の理解を得ることが必要だ」と自信をにじませた。
反菅票の分散狙い「第3の候補」も
竹下派会長代行の茂木敏充外相や麻生派の河野太郎規制改革相も出馬を模索する構え。党内外で対応が注目される石破茂元幹事長は「総裁選より臨時国会を開催すべきだ」と慎重姿勢を示しているが、周辺は「派閥を超えて出馬への期待が盛り上がれば出馬もありうる」と期待している。
こうした状況に、菅氏を支持する党内主流派幹部の間では「反菅票を分散させるため第3、第4の候補も立てるべきだ」との声も出る。このため、今後の展開次第では候補が乱立する大混戦の総裁選となる可能性も出てきた。
現在、自民党所属議員は383人。総裁公選規程により有権者となる全国の党員・党友にも議員と同数の383票が付与され、立候補者は合計766票を取り合う。3人以上が出馬して党員・党友も含めた1回目の投票で有効投票総数の過半数の得票者がいなかった場合は、1、2位による決選投票となり、所属国会議員と都道府県代表(47人)による投票で新総裁を決定する。
地方での演説会も予定するが、自民党はコロナ感染状況も考慮して、地方での街頭演説は控え、オンラインをフル活用しての各種候補者討論会などを行う方針だ。各候補にとって、党員・党友投票に向けてテレビやネット上でのアピール力が勝負のカギとなる。
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