岸田氏が出馬表明、自民総裁選に「大激戦」の予感 9月29日投開票、党員・党友含めた本格選挙に

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前回総裁選は当時官房長官だった菅首相と岸田、石破両氏による3人の戦いとなった。ただ、二階派を先頭に細田派や麻生派などが多くの派閥、グループが菅氏支持に雪崩を打ち、菅氏が岸田、石破両氏に圧勝した。

しかし、今回総裁選を取り巻く自民党内の状況は1年前とは様変わりした。菅首相や二階幹事長が狙う無投票再選には党内若手などから不満が噴出。「総裁選で堂々と政策論争をしないと、衆院選の自民敗北は必至」との声が相次いだ。

こうした声も踏まえ、25日に党本部で二階幹事長と会談した菅首相は「粛々と総裁選を実施してほしい」と伝えた。菅首相は緊急事態宣言の21都道府県への拡大を決めた後の25日夜の記者会見で、「衆院解散・総選挙の選択肢は非常に少なくなっている。ただ、あくまでもコロナ対策を最優先にする中で判断していきたい」と述べ、解散先送りの姿勢をにじませた。

コロナ収束しなければ任期満了選挙も

今後の政治日程からみれば、菅首相に残された選択肢は、あらかじめ総裁選告示前に総裁再選直後の9月30日の臨時国会召集を決め、再選されれば同日に解散断行、最短で10月24日投開票という日程を念頭に置いているとみられる。

その一方で、9月に入ってもコロナが収束せず、パラリンピック閉幕後の9月上旬に緊急事態宣言の再延長を余儀なくされる可能性がある。その場合は解散を断念し、総裁選告示前の9月中旬に10月5日公示・17日投開票の任期満了選挙を閣議決定するケースも想定される。

総裁選で岸田氏らが菅首相を破って新総裁に選出された場合、その後の衆院選など政治日程も大幅に変わる。新総裁を後継首相にするためには臨時国会での首相指名選挙が必要で、新首相は首相指名後の組閣で新内閣を発足させなければならない。

この手続きには数日かかるとみられ、新内閣発足は10月初旬へずれ込む可能性が高い。新内閣発足直後の解散断行は可能だが、政治的には新首相の所信表明演説と、これに対する各党代表質問は「国民向けにも必須」(議会事務局)とみられている。

その場合、代表質問後の解散なら最短でも衆院選は10月19日公示―31日投開票となる。また、解散しないで事実上の任期満了選挙を選択した場合でも10月上旬閉幕なら投開票日は10月31日か11月7日となる。

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