どんな絶望的状況でも「森本稀哲」が前を向ける訳 元プロ野球選手が語る「全力疾走」の重要性

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絶望的な中で自分を見つめ直した自分が、今思うのは、調子がいいときほど見つめ直したほうがいいのではないかということです。

調子がいいときや、成功が続いているときに、自分を見つめ直している人はほぼいないと思います。普通の状態で自分を把握できている人も多くはないでしょう。しかし、日ごろから自分を見つめ直すことができているのなら、メンタルをよい状態に保ちやすくなるはずです。

自分のことを知りたければ、周りの人に聞いてみるのもいいかもしれません。親しい人に、「自分のいいところはどんなところ?」と聞いてみましょう。意外と自分では気づかないことが、相手にいい影響を与えていることもあるものです。

複雑な思いで内野手から外野手に転向した

僕はファイターズに入団した当時、「プロになった以上は内野手になり、田中幸雄さんのショートのレギュラーを獲る!」という強い思いがありました。幸雄さんはゴールデングラブ賞を5回受賞した守備の名手でしたが(打撃も通算2012安打で名球会入り)、内野も練習すればうまくなるだろうと思っていました。

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ところが、2年目に外野を提案されたのです。プロのレベルでは、外野手のほうが勝負できると判断していたのかもしれません。僕は複雑な思いで外野手に転向しましたが、その後、外野手としてリーグ優勝や日本一に貢献することができました。

周りに人がいることで、人生は変わっていきます。野球を始めたのも、小学4年生のときに仲のよかったクラスメイトが、「ひちょちゃん、野球やろうよ」と声をかけてくれたことがきっかけです。それまではサッカー少年で、東京ドームに初めて行ったのも、ACミランの試合でした。

僕は小学1年生のとき、突然、汎発性円形脱毛症を発症し、髪の毛、まつ毛、まゆ毛が抜け落ちてしまいました。人の視線も気になりましたが、サッカーをやっていたとき、ヘディング練習での痛みもつらいものでした。野球ではヘディング練習から解放されたうえに、試合中にずっと帽子をかぶっていられることも、当時の僕にとってはうれしいことだったのです。

人生ではいろいろなことを試してみることが大事に思えます。自分にとって、何が楽しいのか、何が向いているのかは、試してみなければわかりません。置かれた環境を、人の縁を、タイミングを大事にすることで、人生はよい方向に変わっていくことができるのです。

森本 稀哲 野球解説者、評論家

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もりもと ひちょり / Hichori Morimoto

1981年東京都生まれ。1999年ドラフト4位で日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)に入団。2006年には1番レフトとして活躍、チームを日本一へと導く。2006年から2008年に、3年連続ゴールデングラブ賞を受賞、2007年ベストナインに選出。その後、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)、2014年埼玉西武ライオンズを経て、2015年に現役引退。小学校1年生で発症した汎発性円形脱毛症の経験から、「他人の目を気にせず、個性を活かせる社会を創りたい」という強い想いを胸に、野球解説やタレントとしてテレビ・ラジオ出演のほか、大学での講義や講演活動、スポーツイベントなどでも活躍。

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