どんな絶望的状況でも「森本稀哲」が前を向ける訳 元プロ野球選手が語る「全力疾走」の重要性

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思うように力を発揮できない野球選手が、野球でできることは限られています。準備することと、全力でプレーすることだけです。その2つは当然のこととして全員がやらなければいけないことであり、野球選手であれば根底に持つべき考え方であると、ベイスターズ時代に初めて気づくことができました。

今は野球をやめて、いろいろな仕事をやっています。うまくこなしたいとか、新しいこと始めたいという思いもあります。けれど「自分がやれることってなんだろう?」と考えたら、「まずはしっかり準備をして、テレビ番組やステージで自分のできることを全力でやる」ほかないのです。与えられた仕事に対して、しっかり準備をして、全力を傾ければ、うまくいかなかったとしても、後悔にはつながりません。

後悔しないように生きることの大事さを知ったのもベイスターズ時代です。プロ生活の17年間で、日本一になったり、年俸が跳ね上がったりと、いい思いはファイターズ時代にたくさんしました。けれど、成長できたのがいつだったのかといえば、ベイスターズの3年間です。

結果が出せずに苦しくて、試合が終わればいちばん早くシャワーを浴びて、球場から逃げるように帰宅していました。そんなときに立ち止まり、自分を見つめ直すことができたからこそ、次のステージのために、越えるべき壁が来ていることに気づけたのです。

周りの目はどうでもよくなった

チームのために、今できることを全力でやろうと思えたとき、実績や給料や周りの目はどうでもよくなりました。野球選手としては絶望的な状況で、チームのためにすべての力を注ぐことができたのは、カラダに刺さった野球人としての芯があったからだと思います。どん底にいても前を向いたあの3年間がなければ、今の僕はスカスカの人間でした。

悩んだり、立ち止まったりしている人に言いたいのは、「自分が、自分のいちばんの応援団になってあげよう」ということです。

自分に厳しい人は多いのではないでしょうか。ほかの人と自分を比較したり、周りの目を気にしたりして、自分が劣っているように思える。でも、ひとつ確かにいえるのは、自分というのはこの世界にひとりしかいない、すごく貴重な存在ということです。自分では気づかなくても、自分のよさは必ずあるし、自分が思っている以上に輝くものがあります。生きているだけでオリジナルな存在なのです。

まず、自分を見つめ直し、そう意識することだと思います。楽しいと感じることのできる瞬間を、周りの目を気にせずに探し出しましょう。地球に生を与えられた時間は限られていますから、楽しいことをして歩んだほうがいいのです。

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