「感染・ワクチン副反応」労災認定はどんなとき? コロナ禍の今、押さえたい「労災」のポイント

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これに対し、業務上で労務不能となった場合には、正社員・アルバイトにかかわらず、労災から所得補償として支払われる休業補償給付は、賃金のおよそ80%(保険給付60%+特別支給金20%)となります。そして、支払われる期間も無期限です(就労が可能となった場合に支給終了)。

また、新型コロナウイルスの後遺症で万一障害が残ったり、介護が必要になったりした場合にも、労災扱いであれば障害補償給付や介護補償給付が受けられます。不幸にも本人が死亡した場合には遺族補償給付が受けられます。

健康保険には、障害補償給付、介護補償給付、遺族補償給付のような制度は存在しません。

確かに、私傷病扱いであっても、公的年金制度の枠組みから、障害年金や遺族年金を受給できる場合があります。しかし、障害年金を受給できる障害の範囲や程度、遺族年金を受給できる遺族の範囲については、労災よりも限定的です。

労災扱いの場合は、金額の調整は発生するものの、労災からの障害補償給付や遺族補償給付と、公的年金からの障害年金・遺族年金は併給が可能となっており、条件によっては2重の補償を受けることが可能です。

後遺症や、死亡時のことを考えても、労災扱いとなるほうが、圧倒的に手厚い補償が用意されていることは明白です。

コロナ感染が労災になる可能性があるケース

それでは具体的に、どのようなケースにおいて新型コロナウイルス感染等が労災扱いになる可能性があるのでしょうか。以下、列挙してみます。

(1)業務上の感染

業務上の感染については、厚生労働省の通達(令和2年4月 28 日 基補発 0428 第1号)で以下のように労災認定基準が示されています。

ア 医療従事者等:
業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象となる。
イ 医療従事者等以外の労働者であって感染経路が特定されたもの:
感染源が業務に内在していたことが明らかに認められる場合には、労災保険給付の対象となること。
ウ 医療従事者等以外の労働者であって上記イ以外のもの:
調査により感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる次のような労働環境下での業務に従事していた労働者が感染したときには、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められるか否かを、個々の事案に即して適切に判断すること。

このように、認定の基準は医療従事者などとそれ以外の職種では異なるものの、厚労省は、どのような職種においても、新型コロナウイルスへの感染が労災扱いになる可能性があることを認めています。

例えば、飲食店、オフィス、工場等でクラスターが発生した場合、感染した従業員は労災として認定される可能性が高いということです。

厚労省が公開している事例においても、保育園でクラスターが発生して保育士が感染、建設現場で作業員間の感染が疑われる、バスの運転士が日々数十人の乗客を乗せて運行業務に就いていた事例などで、労災が認められています。

(2)通勤での感染

労災は、業務上の傷病に加え、通勤に起因して発生した傷病についても、保険給付の対象になることを認めています。

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