伝わらない文章を書く人は主語・述語に問題アリ ベテラン校閲記者が教える「わかりやすい文章」
やはりTwitterで見られた文は
<感染を予防し、健康を守る>
というふうに、それぞれに合う述語を取らないと文意がはっきりせず、落ち着かないですね。
実は、こうした文が結構多いのです。たとえば、
という文を見てみましょう。
例1)の文を分解してみましょう。
(1)三振とフォアボールをよく選び
(2)打率と本塁打が多い
となり、その理由は、選球眼がいいからだ、というのです。
(1)の「選ぶ」という述語は「フォアボール」には対応していますが、「三振」には対応していません。
同様に(2)の「多い」という述語は「本塁打」に対応していますが、「打率」には対応していません。本塁打は「多い・少ない」で表現できますが、打率は「高い・低い」で表します。
さらに例1)は、
<このバッターは~バッターだ>
という構造になっているのです。
「バッターは~バッターだ」の間に、「三振」「フォアボール」「打率」「本塁打」に関する説明を挟み込んでいます。これが、文を複雑にしている要因なのです。
骨の部分を言い切る
それでは、どうしたらいいのか。何となくわかりにくい文だけど、「どこがわかりにくいのかが、わからない」というときは、まず骨の部分を言い切るのです。もう一度、見てみます。
まず、
<このバッターは選球眼がいい。>
と骨の部分を言い切ります。次にその理由を肉付けします。
<だから三振が少なく、フォアボールも多い。>
「三振」と「フォアボール」に対応するそれぞれの述語が加わりました。
<打率も高く、加えて本塁打も多い。>
と続けます。ここでも「打率」と「本塁打」に述語が対応できています。通してみると
<このバッターは選球眼がいい。だから、三振が少なく、フォアボールが多い。打率も高く、加えて本塁打も多い。>
という具合に3つのパーツに分けて書けばいいのです。