【産業天気図・家電・AV】海外販売増と構造改革効果で「晴れ」、中期の成長分野育成が注目点
10年4月~9月 | 10年10月~11年3月 |
家電・AV業界は2010年4月から1年間、終始「晴れ」の活況が続きそうだ。テレビやカーナビなど主力製品が海外で需要拡大、前期まで各社が取り組んだ構造改革案もフル奏功する。ただ、現有領域ではグローバルな競合企業とのシェア・収益面の格差が縮まっていない。中期の成長分野への開発・事業戦略が問われる期といえそうだ。
「会社四季報」(夏号)によると、家電・AVメーカーを含む電気機器業界の今11年3月期は、業界全体の営業利益総額が前期比106.4%の大幅増となる見通し。
国内大手3社でみると、最大手のパナソニック<6752>の今期営業益が同47%増、ソニー<6758>は営業損益段階に計上していた構造改革費が減る効果もあり530%の大幅増が予想される。シャープ<6753>も150%増が見込まれている。
増益をもたらす要因のひとつが、主力製品の販売増だ。3社共通の主軸事業である薄型テレビの場合、10年(暦年)の世界需要は前年比22%増え1億9572万台に達する見通し(出所・ディスプレイサーチ)。市場別では中南米65%増、中国を除くアジア・太平洋が59%増など海外市場の伸びが高い。
日本は1割増と伸び率は低いが、エコポイント政策の効果で省エネ型のハイエンド機種が売れ筋となり、メーカーにとっては稼げる市場だ。3Dやサッカー・ワールドカップといった材料にも恵まれ、ソニーが前期比1.7倍の2500万台を計画するなど、各社とも台数の大幅増を見込んでいる。単価下落傾向は続くが、数量増・増収による増益効果が期待できる。