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「いざとなったら残業」の考えが人を無能にする訳 企業にひそむ「多忙はエライ」という古い価値観

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  • 堀江 咲智子 ワーク・ライフバランス コンサルタント、中小企業診断士
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ちなみに弊社では、18時以降も講演などの外部の仕事をお受けすることもあり、その喜びをチャットツールに流すこともありますが、投稿があっても返信しなくてよいというルールを原則としています。皆が返信をしてしまっては、プライベートはあっという間にビジネスタイムになってしまうからです。

「タイム・リッチ」になるための投資を

フレキシブルな働き方を導入する企業も増えつつある今、最初に申し上げたように、自分で時間をコントロールする重要性は増しています。

企業側からすれば、総労働時間をきちんと見ておかなくてはならない一方、上長は時間自律性を持つよう部下をトレーニングしていくことも必要でしょう。勤務時間のインターバルにも注意が必要です。終業から次の勤務までの時間が5時間だけだったら、まとまった睡眠時間を取ることができません。

ちなみに睡眠に関する脳科学の研究は今とても進んでいて、眠っている間はまずからだの疲れを取り、脳のストレスを解消していくのは睡眠時間の後半だといわれています。睡眠時間が短いと、からだの疲れは取れていても脳の疲れは取れていないのです。パソコンを使った知的作業が多くなっている中で、脳の疲れはメンタルに大きな影響を及ぼします。

プライベートにおいても、家族がお互いに、時間に対する価値観を共有しておくといいと思います。夫婦といっても、もともとは他人ですから「察してくれ」では通用しません。家事の分担はもちろん、「ひとりになる時間が必要」だと強く思うかどうかでも変わってきます。あらかじめそうした価値観を話し合っておけば、たとえば「ふらりと公園に出かける」「ひとりでカフェに行く」といったことも理解し、尊重し合うことができます。

私自身は、自分の時間を大切にするために、昨年からミールキットの定期便を利用しています。コロナ禍でスーパーにも行きづらく、冷蔵庫の中身を把握しながら毎日の献立を考えるのが苦手で、買い物が本当に憂鬱でした。ミールキットは安くはないので迷っていたのですが、始めてみたらとても自分に合っていました。

日常の雑用や家事を外注することに罪悪感を覚え、抵抗を感じる人も多いでしょう。しかし本書で指摘されているように、自分の時間には何ものにも代えられない価値があります。外注はその時間を生み出し、「タイム・リッチ」になるための投資でもあり、心の豊かさをもたらしてくれることも大いにあるでしょう。今はさまざまなサービスがありますから、お試しで始めてみてもよいのではないでしょうか。

自分の時間に対してオーナーシップを発揮する、そのことの重要性を本書は教えてくれていると思います。

(構成:笹 幸恵)

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