「いざとなったら残業」の考えが人を無能にする訳 企業にひそむ「多忙はエライ」という古い価値観

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忖度文化の悪しき例でしょう。部下は資料を別々に作成する意味もわからず、ただ「やれ」と言われたからやっているだけ、仕事量ばかり増えて生産性は向上しません。また「いざとなったら自分が時間を差し出せばいい」と、時間の提供を解決策にしていては、いつまで経っても「タイム・プア」から抜け出せません。

「5分あったらやること」リスト作成のすすめ

勤務時間が決まっている従業員の立場でできることは少ないと思う人も多いかもしれませんが、生産性を高め、時間をコントロールし、ストレスを抱え込まないための工夫はできます。

本書では「『もし時間があったら』リスト」の作成を勧めていますが、私自身も実践しています。「5分あったらやること」など、細切れ時間で片付けたいことを付箋に書いて貼り出しているのです。電話が早めに終わって、次のミーティングまで5分あったら、付箋の「やることリスト」の1つを済ませてしまう。

このリストの効用は3つ。1つめは、迷いがなくなることです。「何をやるんだっけ」「何から手をつけよう」などと考えずに取り組めるので、時間をロスせずに済みます。地味な積み重ねですが、時間を自分でコントロールするという観点からは効果的です。

2つめは集中力が高まることです。細々した仕事を覚えておくことは、それ自体がストレスです。あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ、忘れないようにしないと……。これでは目の前の業務に集中できませんよね。脳に記憶できる量にも限界があります。まずはすべてを書き出し、焦りや不安を取り払ってから仕事に取り組んだほうが、結果的に生産性は高まります。

3つめは、達成感です。「やることリスト」を書き出した付箋は、終わったら二重線を引いたり廃棄したりするのですが、こうして結果を可視化することで達成感が得られます。朝には20個もあった「やることリスト」がすべて片付いていたら、気持ちもスッキリして夜を迎えられますよね。未完了のストレスを残さないことは、精神衛生上とても重要です。

このほか、「本当に今やらないといけないのか」と、つねに自分に問うてみるのも1つの方法です。プライベートの時間につい仕事のメールの返信をしてしまうとか、電話を折り返してしまうという人は少なくありません。このときはそれで済んでも、周りから「休日でも返信をくれる人」と認定されてしまえば、その先ずっと同じ対応を迫られます。「本当に今やらないといけないのか」という問いは、これからもそのコストがかかることを許容できるのか、という問いでもあります。

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