部下が動かぬ「ダメリーダー」に欠けた6つの視点 「リーダーシップ」の本質をわかりやすく解説

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ところで、リーダーシップを発揮する際に、「『権限』がないから難しい」という話を聞くことがあります。

権限:「権利」と「権力」で構成
権利:「ある物事をしてよい、またはしないでよいという資格」であり、おもに組織内の役職や役割にひもづく
権力:「他人や集団を行動させる力」。おもに職務役割や第三者認証による専門性、組織の後ろ盾による「公式のパワー」と、人間的魅力や能力、対人関係力などによる「非公式のパワー」がある

同じ部長という権限をもった人でも、成果を出せる人と出せない人がいます。その分かれ目の1つが「非公式のパワー」をどれだけもっているかという点です。

つまり、役職にひもづいた権利や公式のパワーではなく、⑤「非公式のパワーである『人間的魅力』や『能力』がリーダーシップにきわめて重要」なのです。

非公式のパワーが強いマネージャーの3つの特徴

非公式のパワーが強いマネージャーは、リーダーシップを発揮し、ビジネスの目標達成に向けてプロジェクトの推進力を高めていきます。

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その特徴としては、(1)「尊重する姿勢」があります。プロジェクトはそれぞれの活動の専門家が集まり、団結して進めるものです。そのときにメンバーを尊重する姿勢をもっていると、それが相手に伝わり、相手も協力してくれるようになります。

また、(2)「志が高い」こともあげられます。目標を達成したいという熱い想いや高い志がフォロワーの感情を動かし、協力してくれるようになるのです。

そして(3)「粘り強く頑張る姿勢」もフォロワーの感情を動かします。困難な状況に対して、常に前向きに対応しているとフォロワーにもそれが伝わり、「こんなに頑張っているのなら協力しよう」と思ってもらえるのです。

⑥「常に謙虚に、志高く、粘り強く頑張る姿勢が人の心を動かし、組織に血を巡らせる」ということを覚えておきましょう。プロジェクトの成功には、知識と技術という「道具」と、リーダーシップなどの「道具を活用する『人間力』」の双方が必要です。

(画像提供:KADOKAWA)
伊藤 大輔 日本プロジェクトソリューションズ社長

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いとう だいすけ / Daisuke Ito

慶應義塾大学経済学部卒業。大手マーケティングCRM会社にて多数のグローバルプロジェクトを担当。在職中、青山学院大学大学院(MBAコース)に通学し、首席で卒業(総代)。卒業後、日本プロジェクトソリューションズ株式会社を起業。教育研修事業、プロジェクト実行支援事業を通じて、企業、教育機関、行政、NPO法人等を含め300社以上と取引し、9000人以上にプロジェクトマネジメントを教育

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