東海道新幹線の雑誌「ウェッジ」、誌面作りの内側 発行10万部、グリーン車からの「持ち帰り率」が鍵

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東海道・山陽新幹線のグリーン車に置かれていることで知られる雑誌『ウェッジ』(撮影:尾形文繁)
「時代の先端を行く雑誌」というキャッチコピーを聞いて、即座に『Wedge(ウェッジ)』の名前を挙げるビジネスパーソンは少なくないだろう。東海道・山陽新幹線のグリーン車の座席に置かれている雑誌だが、最近は電車の中吊り広告でも存在感を見せている。
『ウェッジ』はJR東海グループの株式会社ウェッジから出版されている総合月刊誌。経済や社会の諸問題に鋭く切り込み、新幹線グリーン車内の無料配布だけでなく、書店でも販売されている。新幹線の車内や航空機の機内で配布される雑誌は観光案内的なものが多く、東海道・山陽新幹線のグリーン車内でも『ひととき』という旅雑誌も配布されている。では、なぜ『ウェッジ』の誌面は観光とは一線を画しているのか。『ウェッジ』の大城慶吾編集長に話を聞いた。

グリーン車の「各界リーダー」を対象に

――まず、『ウェッジ』創刊の経緯を教えてください。

1989年3月に株式会社ウェッジが設立され、4月に創刊した。当初は、東海道新幹線車内や駅構内で販売を開始し、東海道・山陽新幹線のグリーン車に搭載するようになったのは1993年3月から。その前年に300系「のぞみ」がデビューし、車内サービスの一環として始まった。

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もともと国鉄時代から東海道・山陽新幹線のグリーン車には『L&G』という、現在の『ひととき』のような旅雑誌が配布されていたが、もう1つの軸として、グリーン車に乗る日本の各界のトップリーダーを中心に経済情報をお届けするという形で『ウェッジ』も配布するようになった。その後、2008年にリニューアルして経済や産業の動向だけでなく、国の政策、安全保障、エネルギー、医療といったテーマも扱うようになった。

――社名の由来は?

Wedgeには「くさび」という意味がある。東海道新幹線の先頭車両の形状がくさび型なので、それをイメージしたものだが、世の中にくさびを打ちたいという願いも込めている。

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