東海道新幹線の雑誌「ウェッジ」、誌面作りの内側 発行10万部、グリーン車からの「持ち帰り率」が鍵
――鉄道業界とマスコミ業界の両方に身を置いて、どんな違いを感じますか。
鉄道の現場を知っている立場からすると、鉄道は安全と時間がすべて。それがサービスの根幹。ただ、新聞やウェブは必ず毎日ニュースを出すし、雑誌も毎週、毎月必ず出る。そうした点では、ある意味で同じではないかと思う。
――『ウェッジ』も、ウェブニュースを拡充していますね。
2009年に「WEDGE Infinity(ウェッジインフィニティ)」というウェブマガジンを立ち上げた。私も今年7月からウェブの編集長を兼務している。ウェブの世界でも『ウェッジ』をもっと知っていただきたい。今後は、ウェッジブランディングの強化に向け、ウェブの名称含め、リニューアルも考えている。
さらに「Wedge Online Premium(ウェッジ・オンライン・プレミアム)」というサイトも7月からスタートした。本誌の特集記事などを有料で販売しているが、無料で読める記事もある。「今月は新幹線には乗れなかったけど『ウェッジ』を読みたい」という人や、普段グリーン車には乗る機会はないけれど、『ウェッジ』のファンの方々に読んで頂きたい。まだスモールスタートだが、小さく産んで大きく育て、いずれはサブスクモデルのようになればいいと思う。
キーマンから生の情報を
――今後、どんな企画を考えていますか。
すでに始めているが、日本や世界を含めた近現代史について、本誌やウェブを通じて力を入れてやってみたい。最近の世界情勢を見ていると、「戦間期」と重なる面がいくつも見られる。戦前や戦後は高校の授業でもそこまで行かないうちに終わってしまい、意外に知られていない。将来を考える際、過去の失敗から真摯に学ぶことは重要で、多くの読者に知っていただきたい分野だと思う。
もう1つは新しいテクノロジーやイノベーション。少子高齢化という状況下で日本をどうやってさらに発展させ、豊かにしていくのか。そのためには新しいテクノロジー、イノベーションが欠かせない。日本の将来に対して、悲観論も多いが、どんどん紹介し、メディアという仕事を通じて、日本の明るい未来をつくる一翼を担っていきたい。
――『ウェッジ』のキャッチフレーズは「時代の先端を行く」ですが、時代の先端を行くための情報提供として心がけていることは。
人と会うことにつきる。世の中には必ずキーマンがいる。取材をしていくうちにそのキーマンにたどり着くわけだが、キーマンと信頼関係をしっかりと築くことができると、次にお会いしたときに、「今度こういう企画をやりたいが、詳しい人をご存じですか」と聞くと、紹介してもらえることが多い。こういう形でネットワークがどんどん広がる。「わらしべ長者」戦法と名付けて編集部に広めている。もちろん、ネット上で情報を得ることもあるが、キーマンからの生の情報のほうが間違いなく信頼性が高い。
今、力を入れているのは海外の人とのネットワーク作り。日本人の識者から外国人の識者を紹介してもらっている。海外の人は日本人にはない視点を持っている。多様な意見を『ウェッジ』に載せることで、グリーン車に乗っているお客様に「読んでよかった」「なるほど」と思っていただけることを目指している。
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