買収6年「湘南モノレール」、高い買い物だったのか 2015年に「みちのりグループ」入り、全通50周年

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湘南モノレール全通時、目白山下駅付近を走行する300形車両(写真:湘南モノレール)
JR東海道線などが乗り入れる大船駅と湘南江の島駅間(6.6km)を結ぶ湘南モノレールが2021年7月2日、1971年の全線開通から50周年を迎えた。同社は2015年5月、およそ半世紀にわたって株式の大半を保有してきた三菱重工業などから、みちのりホールディングス(以下、みちのりHD)に株式譲渡され、経営体制が一新された。
新体制移行後の6年間に、駅のバリアフリー化や交通系ICカードの導入等、積極投資を進めてきた。これらの施策に対し、利用者からはサービス面が大きく改善されたと評価される一方で、「高い買い物をしたのではないか」といった声も聞かれる。
北関東・東北エリアをメインのビジネスフィールドとするみちのりHDは、どのようなことを見据えて湘南モノレールを買収したのか。また、今後、沿線でどのような事業展開をはかっていくのか。みちのりグループの松本順CEO(湘南モノレール会長兼任)に話を聞いた。

そもそもなぜ買収したのか

――まず、M&Aの経緯について伺います。当初、三菱グループからは、どのような話があったのですか。

三菱重工さんは、各地にサフェージュ式モノレール(当時のフランスの企業連合が開発した懸垂型=ぶら下がり型モノレールの技術)を売り込むショールームの目的で湘南モノレールをつくられたそうですが、結局は湘南のほかは千葉都市モノレールでしか実現せず、今後、新たな路線が建設される可能性は、ほぼなくなっていた。つまり、ショールームとしての役割は終わっていたわけです。

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ところが、年間輸送人数はその時点で1000万人に近く(2014年度年間輸送人員は997万4000人、2015年度は1031万2000人)、生活目的の公共交通として機能している以上、やめるにやめられない、誰かに引き継がなければならない状況にあるというお話を最初に伺いました。われわれのグループ内には福島交通飯坂線という鉄道路線があり、鉄道事業に関しての知見もありましたので、お話を伺って非常に興味を持ちました。

私はそれまで湘南モノレールには実際に乗ったことがなかったので、お話があってからすぐに乗りに行きました。

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