買収6年「湘南モノレール」、高い買い物だったのか 2015年に「みちのりグループ」入り、全通50周年

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交通事業者は安心・安全のために日々、同じ作業を繰り返すことから「従来の仕組みを守る」ことが社員の使命であるという意識になりがちです。しかし、より高度な次元で安心・安全を維持し、集客を増やしていくためには、仕組みを改善し続けることが大事であり、それこそが本当の仕事なのだと思ってもらえるようになりました。この変化は、経営を変えていくうえで非常に大きなことです。

――今後、湘南モノレール沿線の事業を、より盛り上げていくための施策としてはどのようなものがありますか。

グループ内の他エリアの事業とのシナジーを生むための施策は、いろいろとやっています。今年4月からは、那須ロープウェイ(関東自動車)との”ぶら下がり式のりもの”同士のコラボ企画を行っています。また、グループ各社の沿線情報を発信する高速バス車内誌『みちのり』をモノレール駅でも配布しており、沿線の皆様が旅行先を選ぶうえでの1つの誘因になっているものと自負しています。

「村岡新駅」でどう変わる?

みちのりグループでは、自動運転やMaaS(マース)やAI(人工知能)によるダイナミックルーティングなど先進的なデジタル技術を駆使したモビリティサービスの導入に各地で取り組んでおり、これらを活かすことも考えています。

湘南モノレール沿線は、駅のバリアフリー化は進んでいるものの、そもそもご利用者のお宅と駅の間に地形的なバリアが大きいケースが多く、こういった部分においての課題解決になりえます。また、鎌倉は観光地でもあるので、移動手段の充実により、新たな観光需要を喚起できる可能性もあります。今後、自治体にもご協力をお願いして、こうした新しいサービスを実現していきたいと考えています。

深沢地域整備事業区域と周辺の状況(画像:2020年3月鎌倉市資料より)

さらに沿線では、村岡(国鉄湘南貨物駅跡地約8.6ha)と深沢(JR鎌倉総合車両センター跡地等約31.1ha)両エリアの開発が進められる計画があります。具体的には、2028年度をメドに鎌倉市役所が深沢エリアに移転し行政サービスが開始されるとともに周辺の街区が一体的に開発され、商業施設、医療・福祉施設、都市型住宅等を設ける計画と聞いています。2032年にはJR東海道線の村岡新駅(仮称)も新規開業する予定です。

森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

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