東海道新幹線の雑誌「ウェッジ」、誌面作りの内側 発行10万部、グリーン車からの「持ち帰り率」が鍵

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――中吊り広告の見出しは刺激的なものが多く、読んでみたくなる記事が多いです。

ありがとうございます。目に留まるような工夫を心がけている。今年の4月号から連載を刷新した。中吊りに載せられるような連載を作りたいと考え、連載の各号のタイトルにもこだわっている。

――大城さんはJR東海からの出向ですよね。鉄道会社とはまったく畑違いの業界に来て戸惑いはありませんでしたか?

ウェッジへの出向は今回で2度目。鉄道会社に就職したので、ウェッジに出向するとはまったく思ってもみなかった。2度目の内命を受けたときは1度目以上にびっくりした。恥ずかしながら就職前はウェッジという存在自体知らなかったし、入社した後も、「『ウェッジ』という雑誌があるな」という程度だった。

「看板」でいい仕事はできない

――いきなり編集者というのも大変では?

仕事でいろいろな分野の人に会うが、最初は、その人がどこでどんなことを主張しているかといった知識がまったくなく、何も話せなかった。特に初対面の人と喫茶店でコーヒーを飲みながら取材や打ち合わせをするときは、本当に緊張した。先輩方からのアドバイスもあり、とにかく、あらゆるものに目を通して勉強するということからスタートした。

大城編集長はJR東海からの出向だ(撮影:尾形文繁)

私は自分がJR東海から出向していることを自分から言うことはない。理由は『ウェッジ』の編集者の立場で「JR東海からの出向です」と言って名刺を渡しても、良い情報が得られるわけではないから。この世界で問われているのは、編集者として「できるのか」どうか。自分の問題認識を相手にぶつけていかに答えを引き出すかというのが編集者の仕事。もちろん、JR東海の社員であることに誇りは持っているし、このような仕事をさせてくれる会社にはとても感謝しているが、この世界で働く以上、看板で仕事をしてもいい編集者にはなれないし、いい仕事もできないのではないかと思う。

この考えに至るまでにはいろいろあった。1度目の出向のときは、「大城さん、前は何をやっていたんですか」と聞かれると、自分に自信がなかったこともあり、「JR東海から出向してきました」と答えていたが、途中から一切言わなくなった。なぜなら、相手は、JR東海の社員としてではなく、『ウェッジ』の編集者として見ていることがわかったから。私の中での目覚めのときであり、「これからは1人の人間として、『ウェッジ』の編集者として勝負しよう」と決意した。

出向が終わって本体に戻ることになって、いろいろな人から「え、大城さんはJR東海の人だったんですか」「マスコミの人だと思っていました」と言われたのは、とてもうれしい経験であり、最高の褒め言葉をいただいた気がした。

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