菅首相、緊急事態宣言延長で「9月解散」困難に 自民は本格総裁選に、11月28日総選挙説も浮上
もちろん、手続き的には同宣言下でも解散は可能だが、菅首相は「コロナ対策最優先」と繰り返してきただけに、「政治的には宣言中の解散はありえない」(自民幹部)とみられている。菅首相サイドでも「コロナが劇的に収束しない限り、総裁選前の解散は困難」との声が広がる。
次に焦点となるのは、総裁選先行の場合は複数候補で争うか、無投票再選とするかだ。8月26日の管理委と総務会で「9・17告示-29日投開票」と決まれば、その時点で党内が動き出す。
本格総裁選を求める声が高まる
すでに、安倍晋三元首相に近い高市早苗前総務相(無派閥)が8月発売の大手月刊誌で出馬宣言。野田聖子幹事長代行(同)もかねてから出馬の意欲を示している。前回総裁選に出馬した岸田文雄前政調会長や石破茂元幹事長は今のところ明確な態度表明を控えているが、岸田氏は「総裁選日程が決まった段階で出馬表明するのでは」(岸田派幹部)との見方が広がる。
高市、野田、石破の3氏は出馬のための「20人以上の議員の推薦」との条件がクリアできるかなお不透明だ。これに対し、大派閥領袖の岸田氏は出馬宣言さえすれば「ポスト菅」に挑戦できる。
菅首相が早々に総裁選出馬を宣言したのは、こうした動きを封じ込める思惑からだ。二階俊博幹事長は8月初旬の記者会見で「複数の候補が出る見通しは今のところない。現職が再選される可能性が極めて強い状況だというのは誰もが承知のとおりだ」と菅首相の無投票再選による続投を強く支持した。
しかし、五輪閉幕に合わせた各メディアの世論調査では「任期内での首相退陣」を望む声が「続投支持」の倍以上となり、自民党内でも「次期衆院選での勝利のためにも、本格総裁選が必要」(若手)との声が急拡大している。
もちろん、菅首相は挑戦を受けたうえで再選を決め、その直後の衆院解散を狙うとみられる。仮に再選直後の9月30日に解散を断行すれば、最短で10月24日投開票が可能だ。その場合、参院2補選や衆院補選も吸収できる。
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