テレビとYouTube「二刀流芸人」の"ネットの流儀" さんまにとって「YouTube=素人の領域」だが…

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ところが、さんまが強調するような「プロ」と「素人」、テレビとYouTubeのきっちりとしたすみ分けは、急速に過去のものとなりつつある。

ここ数年のあいだに、有名お笑い芸人のYouTube進出が相次いだ。なかでも2020年6月にとんねるず・石橋貴明が公式チャンネル「貴ちゃんねるず」を開設したことは大きな話題を呼んだ。1980年代からテレビを自分の庭のようにしてきた、「お笑い第3世代」の一角を占めたとんねるずの石橋が、ネットに活動の場を求めたことにはインパクトがあった。

近年、お笑い芸人が次々とネットに進出する背景には、コンプライアンス意識の高まりがあると言われる。かつては許された過激な企画も、昨今の社会規範や社会通念の変化に照らしてテレビでは許容されにくくなった。その結果、より自由な環境を求めた芸人たちがネットに目を向け始めたというわけである。

江頭2:50は「テレビでは見せない一面」を配信

実際、2020年1月に「エガちゃんねる」をYouTubeに開設した江頭2:50などにはそうした面があるだろう。江頭の真骨頂は、体を張った暴走芸。上半身裸の黒タイツ姿で乱入し、暴れ回る。時には勢い余って下半身を露出し、問題になったこともある。

このため、コンプライアンスが重視されるようになってくると、江頭がテレビに登場する機会は減っていった。そこでYouTubeに活路を求めたわけである。この決断が功を奏し、いまやチャンネル登録者は233万人を数える(2021年4月4日現在)。

とはいえ芸人たちは、テレビでやりたいことができないフラストレーションを、ただ単にネットで発散させているわけではない。芸人にとってネットは、テレビでできないことをやる場というより、それぞれの個性に応じて独自のコンテンツを見せる場なのである。江頭2:50にしても視聴回数が最も多いのは、その芸風からは想像のつかない、ザ・ブルーハーツの「人にやさしく」を真剣に熱唱した動画であったりする。

次ページ人気芸人「YouTube で『俺芸人なんで』っていう尖りは不要」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事