不登校から大学を目指すための「5つのポイント」 5年のひきこもりから大学進学した人が語る

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ただそうは言っても、科目の勉強自体に自信が持てないという方も多いことでしょう。そこで2つめの「大学に入る方法はたくさんある」ということをお伝えします。不登校を経験した方のなかには、総合型選抜入試(学力試験よりも面接や文章を重視する入試)を受けて大学に入学することができたという方も増えてきました。「科目の勉強はきついけど文章を書くのは好き」という方にはちょうどよいと思います。総合型選抜入試をまず受けてみて、そのあと一般選抜(学科試験中心の入試のこと)を受けることも可能です。

3つめは「科目を自分で選ぶ余地が増えてきた」という点です。高卒認定試験とやや似ているのですが、以前は「社会科目であれば世界史Bか日本史Bのなかから1つ選ぶ」というかたちでしたが、今は「社会科目は世界史B、日本史B、地理B、政治経済のなかから1つ選ぶ」といった具合です。受験科目の選択肢が増えることは、本人にとってすこしでも抵抗感のない科目を選びやすくなることにつながります。

大学生活が不安

ここまでは入試方法や科目のお話をしてきましたが、そもそも「不登校をしていた自分が大学生活をちゃんとやっていけるのか?」というお悩みもよく聞きます。だからこそ声を大にして言いたいのは、4つめの「大学にはいろいろな人が来ている」ということです。私は5年半ほどひきこもっていた経験があったため、大学卒業も通常より6年遅れとなりました。そんな人は自分だけだと思いこんでいたのですが、同級生の年齢はバラバラで、まわりもあまり気に留めません。年齢ひとつとっても、大学はいろいろな人が集まる場だと実感できたことは精神的にとても助かりました。

5つめは「最近の大学は相談しやすくなってきた」ということ。大学生活を送るなかで学業はもちろん、人付き合いや進路など、さまざまな悩みが出てきます。しかし今では、秘密が守られて相談できる場所が大学内にいくつもある時代です。私が以前に関わった子も、入学後のことを気にしていました。その子は2月に大学に合格したあと4月の入学までに何回かキャンパスに足を運び、相談できそうな窓口の方に顔を覚えてもらうようにしていました。そのおかげで相談することへの心のハードルが低くなり、無事に大学を卒業しました。本人の安心感のためには、こうした対応も大切です。

■筆者略歴/半村進(はんむら・すすむ)
5年半のひきこもり生活を経験。30歳で初のアルバイトを始め、現在は株式会社キズキで「学びなおし」を支援中。

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日本で唯一の不登校専門紙です。不登校新聞の特徴は、不登校・ひきこもり本人の声が充実していることです。これまで1000人以上の、不登校・ひきこもりの当事者・経験者が登場しました。

また、不登校、いじめ、ひきこもりに関するニュース、学校外の居場所情報、相談先となる親の会情報、識者・文化人のインタビューなども掲載されています。紙面はすべて「親はどう支えればいいの?」という疑問点から出発していると言えます。

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