キリン「214億円減損」にミャンマー事業の代償 現地のコロナ感染拡大と政情不安が大打撃

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キリンHDは2021年12月期のミャンマー事業の売上高を206億円(従来予想比180億円減)、事業利益を62億円(同98億円減)と大幅に見直した。

前2020年12月期は売上高が318億円、事業利益は138億円だったため、利益は半減することになる。また現地の事業環境の不透明性を踏まえ、ミャンマー・ブルワリーに関わるのれんの減損損失214億円を計上した。

ミャンマーの格付けは「デフォルト」相当

キリンHDは2017年からIFRS (国際会計基準)を採用している。日本会計基準と異なりIFRSでは、毎年一定額ずつののれん償却を行わない。その代わりに減損テストを行い、「事業の将来計画が現実的に達成不可能」と判断されたときに一気に減損処理を行う。

減損テストに当たっては、ミャンマーの「カントリーリスク」の上昇も考慮に入れた。キリンHDは、ニューヨーク大学のアスワス・ダモダラン教授が公表する指標を参考に説明している。

教授は、債券や債務の返済リスクを図るために用いられる、格付け評価でカントリーリスクを示している。

この指標を当てはめると、現在のミャンマーへの投資は「非常に投機的」に相当する。元利金の回収は一定程度見込めるものの、デフォルト(債務不履行)に陥っているか、それに近い状態とされた。2021年1月時点では「信用リスクが高く投機的」だったが、クーデターを境に、4ランク相当格下げされた格好だ。

2020年12月時点で「ミャンマー酒類事業」ののれん計上額は約250億円。その8割超を減損したこともあって、横田氏は「監査法人にも確認してもらったうえでの保守的な計画となっており、追加の減損がない水準」と語った。

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