対ミャンマー外交「国軍偏重」見直しが急務 上智大学・根本敬教授に聞く日本外交の課題

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ミャンマーのマンダレーで国軍に対する抗議活動に参加する市民ら(写真:EPA=時事)
国連事務総長特別代表を務めた明石康氏や元国連大使の大島賢三氏など元外交官や大学教授ら6人が4月23日、外務省を訪れて「ミャンマー情勢に関する提言」を、鷲尾英一郎副大臣)に手渡した。
提言では、「軍事クーデターが内乱に陥ることを防止するためにも日本政府が外交努力を一層強化するとともに、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国と協力して、事態打開のために制裁だけでない方法も模索するのがよい」などと述べられている。
だが、外務省に政策対応を促すことを目的とした同提言については、ミャンマーの政治に詳しい学識経験者などから「不当に政権奪取を企てる国軍を正規軍ないし正当な体制とみなし、国軍による一方的な殺戮行為が市民との対等な対立であるという、事実と異なる前提が元になっている」との批判が持ち上がっている。
同提言に対して4月30日付で「懸念と反証ステートメント」を公表した学識経験者7人の1人である上智大学の根本敬教授(ミャンマー近現代史専攻)に、明石氏らの提言がはらむ問題点と事態打開への方策について聞いた。

「提言」は誤ったメッセージを与える

――元外交官らによる提言に懸念を表明した理由は。

元外交官らが経験を生かして外務省に提言すること自体はいいことだ。しかし、私たちが公表した反証ステートメントに詳しく記したように、提言は政権奪取を企てる国軍を既成事実のように正規軍ないし正当な体制とみなし、国軍による一方的な殺戮行為を抵抗運動を続ける市民との間の争乱とみなす前提に立っている。

そのことにより、ミャンマー国内のみならず国際社会に誤った認識を提示してしまう危険性をはらんでいる。

東洋経済プラスの特集「ミャンマーと日本」では、この記事の続きを無料でお読みいただけます。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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