不妊治療の保険適用という吉報に不安も見える訳 新ガイドラインに沿うなら「適用外」の扱いが難題

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では、今回公表された生殖医療ガイドラインを、現在、自由診療のもとで治療を行っている現場の医師はどうとらえているのか。杉山産婦人科・新宿理事長で産婦人科医の杉山力一さんに話を聞くと、「恒久的に安定した仕組みになるのはいい」という。

杉山さんは同ガイドライン評価委員。今回の保険診療化にあたり、これまで何度か菅義偉首相に会い、不妊治療の現状を進言してきた。今年に入ってからも5回ほど官邸に赴いている、不妊治療の保険診療化のキーマンでもある。

「保険が認められることで、患者さんも治療を受けやすくなるのは事実。『不妊治療しています』と周りに言いやすいですし、会社勤めをしている人なら休みも取りやすくなるでしょう。菅首相は、治療を受ける人が増えれば出生数も増え、少子化対策につながると考えています」

日本の不妊治療が後退する危惧も

一方で、制度のあり方をきちんとつめなければ、日本の不妊治療は大きく後退すると危惧する。

現在、日本で行われている不妊治療には大きく、最初に始める「一般不妊治療(タイミング法や人工授精など)」と、こうした治療を受けても子どもが授からなかったときや、最初の不妊検査で一般不妊治療での挙児がむずかしいと判断されたときに行う「高度不妊治療(生殖補助医療=ARTともいう。体外受精や顕微授精など)」がある。一般不妊治療の一部はすでに健康保険が適用されているが、それ以外は基本的に自由診療で行われている。

今回、学会が公表したガイドラインは、主に後者の高度不妊治療についてまとめたものであり、一般不妊治療については、すでに日本産科婦人科学会が「産婦人科診療ガイドライン」の「内分泌・不妊」編を出している。

杉山さんが危惧する問題の1つは、「生殖医療ガイドライン」が保険診療を見据えたものになっている点だという。

ガイドラインには40項目のQがあり、それに対して推奨レベル「A:(実施すること等を)強く勧められる」「B:(実施すること等が)勧められる」「C:(実施すること等が)考慮される」という3段階の評価がついている。

例えば、原因不明の不妊や、卵子の通り道である卵管に問題がある不妊では、採卵した卵子と精子を体外で受精させ、受精卵(胚)を子宮に移植する体外受精が有効で、推奨レベルAの「強く勧められる」になっている。同じく、母胎に負担がかかる多胎を予防するため、移植する胚は単一(1つ)にすることも、A(強く勧められる)だ。

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