五輪2900億円投じた新設施設に負のレガシー危機 新設7施設中5施設が年間収支赤字の見込み
唯一、黒字経営が見込まれる有明アリーナは、都が電通グループらと46年3月までの25年間の運営権契約を結んだ。1万5000人の収容力を生かし、ライブコンサートなどの利用が見込まれている。
IRの誘致も価値を高める一つの方法
競技場が多く作られた湾岸エリアは、カジノを含む統合型リゾート(IR)の候補地としても注目が高い。負の遺産にしないためにもエリア全体の価値を維持する必要があり、小澤氏は「突き詰めれば、IRの誘致も価値を高める一つの方法」だと話す。
UBS SuMi TRUSTウェルス・マネジメント日本地域最高投資責任者の青木大樹氏は、有明エリアに「オリンピックのレガシー(遺産)特区」を作り、IRリゾートや国際会議施設の拠点にすることが考えられると話す。
都の計画には、ベイエリアに約1000ヘクタールの土地となる新しい埋め立て地としてのポテンシャルがあると記されている。今年3月に策定した「 東京ベイeSGプロジェクト」によると、2030ー2050年にかけて地下鉄の延伸、羽田空港アクセス線などの事業化に順次着手するほか、区部中心部と臨海副都心を直接繋ぐ臨海地下鉄の事業化に向けた検討も行う。
同プロジェクトの前身の「東京ベイエリアビジョン」の官民連携検討会メンバーを務めた東京大学大学院工学系研究科の中島直人准教授(都市工学)は、「もともと東京の資産を生かした開催だったのが、膨大な建設費でかなりが新築された」と振り返る。新設された恒久施設を負の遺産にしてしまわないためにも、運営には工夫が求められる。
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著者:黄恂恂
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