日本企業がやりがちな「悪いアジャイル」の克服法 短絡的な官僚組織の否定が成功の芽を摘み取る
ソフトウェア開発の手法として有名な「アジャイル」を大企業に応用し、変革スピードを高める方法についてまとめた『AX(アジャイル・トランスフォーメーション)戦略』が翻訳出版された。日本企業の現場力を飛躍させ、競争力を高めるために、アジャイルを正しく導入するには何が必要か。本書の監訳・解説者がその秘訣をまとめた。今回は前編に続き、後編をお届けする。
第2ステージ 大気圏の脱出:アジャイルの拡大
組織のベクトルを「外向き」にし、顧客へと向かわせるのがAX(アジャイル・トランスフォーメーション)だ。AXには、次の3つのステージがある。
第1ステージ:ロケットの離陸 (アジャイルチームの立ち上げ)
第2ステージ:大気圏の脱出 (アジャイルの拡大)
第3ステージ:成長軌道に乗せる (アジャイル企業へ)
第2ステージ:大気圏の脱出 (アジャイルの拡大)
第3ステージ:成長軌道に乗せる (アジャイル企業へ)
第1ステージを解説した前編に続き、本稿では、第2ステージ以降について解説していこう。
アジャイルチームが離陸し、革新的な真の顧客価値を提供する商品・サービスなどを事業として本格化していくには、必要な人・モノ・カネが増え、関わる人や組織も増えていく。
変革においてマネジメントの頭を悩ませるのは、「事業の変革・イノベーション」と「通常業務の運営」の両輪を回し続けることの難しさだ。
日本の企業では、アジャイルや変革の取り組みの拡大期に、「通常業務の運営」サイドからの強い重力場に引っ張られて墜落・失速してしまうというケースが頻出する。
離陸までは小さなチームの取り組みとして特に問題視されてこなかったことも、スケールさせる段になると周囲から大きな注目を集め、抵抗勢力からの圧力が格段に強くなる。この圧力を突破することができなければ墜落・失速は避けられない。
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