景気後退期こそ、成長やシェア拡大のチャンス

世界大手コンサル・ベインのトップに聞く

ベインのマニー・マセダ氏は、フレキシブルな企業のエコシステムが成功する、と説く(撮影:尾形文繁)
米中貿易戦争の深刻化や世界景気の減速、ハイテク覇権をめぐる競争激化など日本企業を取り巻く環境は厳しさを増している。
こうした中、企業経営にとって重要なことは何か。世界大手の経営戦略コンサルティングファームであるベイン・アンド・カンパニーのグローバル代表(ワールドワイド・マネージング・パートナー)、マニー・マセダ氏に聞いた。

成功するのは「フレキシブルなエコシステム」

――米中貿易摩擦が激しさを増し、長期化する中、世界の大企業はどのように対応しようとしていますか。

世界の企業は米中間の貿易戦争がこれから日常的に存在するもの、長期的な冷戦の始まりという仮定のもとに戦略を見直し始めた。

サプライチェーンを選択する際、柔軟性を高める方向でプランニングを行っている。貿易戦争ではないが、ブレグジットにおいても、関税の復活を前提に企業は対応を迫られている。重要なのは、仮定が間違うことも念頭において、戦略の柔軟性を持つことだ。

サプライチェーンの分断が起こり、デジタル化が急速に進展する現在の環境下で成功するビジネスモデルについてわれわれは、「フレキシブルな企業のエコシステム(生態系)」と呼んでいる。

かつて成功を収めたビジネスモデルは、ゼネラル・エレクトリック(GE)のようなコングロマリット(複合企業)だった。巨大でヒエラルキー的に統合された組織体系を持っていた。しかし、現在において最も成功している企業はそれとは異なる。

自ら工場を持たなくても、外部のさまざまな企業と提携し、環境変化に順応性のあるサプライチェーンを構築している。アマゾンやアリババ、日本のソフトバンクや楽天などを見てもそうだ。技術革新が急速に進み、グローバルなルールや経済関係も大きく変化する世界で成功するには、よりアジャイル(俊敏)な組織でなければならない。これは数十年単位の長期トレンドといえる。

米中貿易摩擦に関連してもう1つ注目すべきは、外国資本にとって日本市場の魅力が高まっていることだ。われわれは未上場企業に投資する国際的なプライベート・エクイティ・ファンドに対するコンサルティングも行っているが、世界における投資の優先度において日本の評価が上がっている。

なぜかというと、日本がより安定的な市場だからだ。米中貿易摩擦で揺れる中国、ブレグジットで迷走するイギリス、「黄色いベスト運動」による政府への抗議活動が長引くフランスなど、政治経済が混迷する国が増える中、日本市場の相対的な安定感が再認識されている。

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