日本企業がやりがちな「悪いアジャイル」の克服法 短絡的な官僚組織の否定が成功の芽を摘み取る
深刻なものとしては「アジャイルとはとにかくなんでも速くやること」と短絡的に考えて、勢いに任せて前に進もうとするDDDD(Do Do Do Do)になってしまうことである。ここでの落とし穴は、以下である。
□ 通常業務とアジャイルの取り組みを同様に扱い、全組織に変化を求めてしまう
□ 現場尊重と言いながら、実際には盲目的にベンチャー時代のやり方や「鶴の一声」に追随する
□ 企業のスケールが生かされず、現場は目的を見失う
組織を継続進化の安定軌道に乗せるには
第3のステージ、すなわちアジャイル企業のステージに至ったとしても、革新に邁進し続けるアジャイル活動の比率は企業活動の全体の一部にとどまる。
比率は下がりつつも、これまでの通常業務もまた継続しており、また成功したイノベーションや変革があれば、それはいずれ通常業務へと成熟してゆくはずだ。
すなわち、アジャイルの取り組みを担う組織のスコープをつねに明確に定義し、ステージ1・2の基本でもあったオペレーティングモデルをそこに適応することがカギで、いたずらにすべてのやり方を白から黒に変えてしまってはいけない。
官僚型の仕組みは、ともすれば悪者扱いされがちだが、実際はそうではない。中期計画、年間予算・事業計画、人事評価・異動、改善型・安定的事業成長など、官僚型のアプローチは通常業務の運営に欠かせない。
ただし、例えば3年計画のような硬直的なアプローチがアジャイルには適さないことは読者には明らかであろう。
第3ステージにおいては、アジャイルの仕組み・動き方そのものが通常業務の運営へとフィードバックされてゆく必要がある。それには、アジャイルアプローチといわば官僚型アプローチの適材適所の併存が求められる。日本の企業の得意な官僚型アプローチのよさをも再認識し、それとアジャイルの仕組みとの両立が成功のカギである。
ベイン・アンド・カンパニーが企業変革の取り組みの結果について調査を行ったところ、20%が失敗、68%が想定以下で、成功したのはたったの12%にすぎないということが明らかになった。
日本は元来変革が得意なはずだ。腹を決めたら徹底的にやる。日本の企業がAXにより現場の創造力を高め、それを解き放つことで顧客主義や現場の強さを取り戻し、かつて以上の輝きを放つことを願ってやまない。
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