日本企業がやりがちな「悪いアジャイル」の克服法 短絡的な官僚組織の否定が成功の芽を摘み取る
ここでは、スピードを落とさずに当該新事業の推進・インフラを担う陣容を短いサイクルで一気に広げてゆくことが必要であり、離陸時同様の方針を保持し、より多くの専任の人員や経営資源や権限の拡大を担保することが求められる。
加えて、現実には既存の業務側に立つ組織に対しても、当該ミッションへの徹底的な優先協力を取り付けることで、直接・間接の推進力が増し、単なるベンチャーではなく企業としてのスケールメリットを生かすことができるはずだ。
これらは、「言うは易く行うは難し」の典型例ではなかろうか?
マネジメントがどこまで腹をくくって本気で取り組めるかということでもあり、アジャイル邁進へのオペレーティングモデルの適用拡大が必須である。
掛け声だけで終わるのでなく、拡大した専任組織・人員がチャレンジミッションに専念できるような権限・評価を付与したり、既存業務サイドが協力を惜しまなくなるような目標・評価を明確に設定することが、大きな違いを生むはずだ。
第3ステージ 成長の軌道へ乗せる:アジャイル企業へ
アジャイルの取り組みが全社へと拡大した後、それを一度限りの変革とせずに、AXを組織のDNAに埋め込むにはどうすればよいだろうか。
アジャイル企業のステージでは、「ステージ1、2で進めてきた取り組みが本格的に回ること」とともに「アジャイルのやり方・動き方が組織に浸透し、イノベーションや変革が社内から繰り返し生み出される文化と現場創造力が企業に身につくこと」が達成されなければならない。
ここでは、より広い組織に対する仕組みの「型」がカギとなる。
●第3ステージでよく見られる失敗のパターン
第3ステージでよく見る失敗のパターンは以下のようなものだ。
- 既存ビジネス向けにルーティンで効率的に回っていたものまで変えてしまい、オペレーションが崩壊してしまう
- 顧客不在の単なるコストカットの手法として全社に展開し、組織の体力と活力を削いでしまう
日本の企業でも上記のケースは散見される。