収監中の李在鎔サムスン電子副会長が仮釈放に 財界から待望論強く政府も容認、経営活動を本格化

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2021年1月18日の判決公判に臨む李在鎔サムスン電子副会長(写真・ Bloomberg Finance LP)

朴槿恵政権時代(2013~2016年)に起きた国政不正介入事件に関連、贈収賄などの容疑で有罪が確定し、ソウル拘置所に収監されていたサムスン電子の李在鎔副会長(53)が仮釈放されることになった。仮釈放日は8月13日。2021年1月18日に裁判所で懲役2年6カ月の判決が出されて収監されて以来、207日にぶりに社会に復帰する。

収監から207日ぶりの仮釈放

韓国法務省は2021年8月9日、李副会長を含めた8月の仮釈放を同月13日に実施すると明らかにした。朴範界(パク・ポムゲ)法相は、「コロナ禍が長期化する中、国家的経済状況とグローバルな経済環境を考慮した結果、李副会長を仮釈放の対象に含めた。社会的感情、拘置生活の態度など多様な要因を総合的に考慮し決定されたものと承知している」と述べた。

当初、サムスンをはじめ韓国財界では、李副会長の経営活動に制約を来さないように、仮釈放ではない「大統領特別赦免」を望む声が少なくはなかった。ただ、大統領府は文在寅大統領が特赦制限を公約に打ち出していたため、大統領の政治的負担が少ない法相の権限による仮釈放を選択したようだ。

李副会長は国政不正介入事件以外にも、サムスングループの経営権継承疑惑などそれぞれで判決を受けている状況で、これらが仮釈放においてネックとなるのではとの見方がある。しかし、李副会長が仮釈放の基準となる刑期の60%を拘置されたうえに模範囚である点などが反映されたものとされている。

財界はこれを歓迎しながらも、赦免がなされないことが気がかりなようだ。一方で、市民団体を中心に今回の決定について「特恵」という批判がなされており新たな問題となりそうだ。

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