旅客機撃墜は、ロシア崩壊のシグナルか

ソ連は大韓航空機撃墜事件後に崩壊加速した

撃墜されたマレーシア航空機の現場検証を行う国際調査団(写真:AP/アフロ)

ロシア政府の無能ぶりが人命にかかわるようになった今、ロシア国内は恐怖におののき始めた。ウクライナ上空でのマレーシア航空17便撃墜の知らせがロシアに入ると、昔を知る人は1983年9月のソ連空軍機による大韓航空機撃墜事件とその政治的影響を思い出した。

ソ連崩壊を早めた大韓航空機撃墜事件

当時のソ連政府は、失踪した大韓航空機との関係を否定して世界を欺いた後、同機が米国のスパイだと主張した。だが、この事件でソ連軍参謀総長であり、生粋の強硬派だったオガルコフ元帥のキャリアに終止符が打たれた。

彼の不手際と下手なうそは、1979年から続くソ連のアフガニスタン侵攻の混迷と相まって、崩壊しつつある体制の実態を露呈させた。ブレジネフ政権で始まった経済停滞は、1982年の彼の死後さらに深まる。後継者は諜報機関KGB出身のアンドロポフ氏、次いで共産党中央委員会のチェルネンコ氏だが、彼らは権力の座に就いた時点で片足が棺おけに入っていただけでなく、改革の準備がまったくできていなかった。

アフガニスタンにおける多大な人命の消失(ベトナムでの米国のそれと同等。ただし期間は大幅に短い)は、ソ連政府が自滅の危機にあることを示唆したが、民間機に対する攻撃がその見方を決定づけたように思われた。この気づきがゴルバチョフ氏を権力の座に押し上げ、ペレストロイカやグラスノスチに対する上層部の支持を後押しした。

歴史は運命で決まるわけではない。ただ、プーチン大統領の側近数名、あるいはプーチン大統領自身も、オガルコフ元帥の失敗とソ連エリートの末路に思いを巡らせていることは間違いない。

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