ベンツが2030年にEVメーカーへ、その真意とは EVシフトの欧州と、HVの選択肢を残す日本の差
メルセデス・ベンツを製造するドイツのダイムラー社が2030年までに新車販売を電気自動車(EV)のみにするとした。もちろん市場動向は流動的であり、また市場を決めるのは消費者だから、消費者の意向に沿わない状況が残ればプラグインハイブリッド車(PHEV)など、エンジンでの発電機能を備えた車種が残る可能性はある。しかし、EV一本化への準備期限を明確にしたのだ。
欧米や中国でEV導入の動きが活発となるなか、1886年にガソリンエンジン自動車を発明したカール・ベンツやゴットリープ・ダイムラーを祖とする自動車メーカーが、あと9年後にはEVのみの新車販売へ向かっていくとの決断は大きく、衝撃的だ。
ここ数年の動きとして、英国のジャガーが次期XJをEVにすると発表し、驚かせた。しかしそれは撤回し、1車種だけでなく、逆にEVメーカーへの動きをより明確にした。同じグループのランドローバーも未舗装路を走る車種を主体とするため、すべてをEVにするとまで明確にしていないが、販売する各車種にEVを設けることになるだろう。ディフェンダーには、燃料電池車(FCV)という話もある。
EVメーカーへと舵を切る海外自動車メーカー
ヨーロッパではほかに、スウェーデンのボルボがEVメーカーになる方向にあり、アメリカではゼネラル・モーターズ(GM)もEVメーカーを目指すことを明らかにしている。FCA(イタリアのフィアットとアメリカのクライスラー)とPSA(フランスのプジョー、シトロエン、DS)の合体によるステランティスも、EVへの攻勢を強める意向を発表した。そして欧米にリチウムイオンバッテリー工場となるギガファクトリーを展開する。
ドイツ勢ではほかに、アウディがEVのみとしていくことを明らかにしたが、こちらもメルセデス・ベンツ同様、PHEVは残す可能性がある。BMWは、2001年に自社ブランド化したMINIをEVメーカーにしていくことを表明し、BMWの車種すべてにEVの選択肢を設ける。さらにBMWは、EVからの給電機能の研究開発もはじめる。
ドイツ大手のフォルクスワーゲン(VW)も、カーボンニュートラル実現のためEVに注力することを決め、ギガファクトリーと呼ばれるリチウムイオンバッテリー工場を6カ所設けるとする。小型車を中心とする自動車メーカーであるだけに、リチウムイオンバッテリーの原価を低減するため、電極材料の使いわけを行う計画だ。
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