「軽自動車の電動化」で販売店に立ちはだかる壁 安さという魅力が薄れ、販売に影響する懸念も

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車両価格や維持費の安さから、軽自動車の人気は高いが、電動化によって車両価格が上昇する懸念もある(編集部撮影)
政府は2020年12月、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、「2035年までに乗用車の新車販売で電動車100%を実現する」との目標を打ち出した。将来的な選択肢がハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)などの電動車に限られる中、岐路に立たされているのが軽自動車だ。
電動化によるコスト増で車両価格の上昇が避けられず、低価格という最大の強みを失う可能性がある。軽自動車を売る販売現場は、今回の政府目標をどう捉えているのか。販売店の業界団体である全国軽自動車協会連合会(全軽自協)の堀井仁会長に聞いた。

――政府による電動車100%の目標をどう受け止めましたか。

環境への課題についての取り組みは、今も将来も不変のテーマと思っている。軽自動車だから難しいとかではなく、時代の要請、国の要請に対応すべき課題と前向きに捉えている。日本自動車工業会の豊田章男会長も自動車業界全力としてチャレンジするということを話していたが、これにまったく異議はない。全軽自協としては大変難しい課題とは思うが、電動化に不可欠な蓄電池などの技術革新のブレークスルーを期待している。

――今回、軽自動車も電動化目標の対象となりました。

電動化だけでなく自動化やコネクテッドなどCASE技術の開発が進んでいく中でも、安価で使い勝手がいいという軽自動車の特徴を保っていくことが一番大事な視点になる。どんな時代や環境の変化があったとしても、軽自動車は地方の公共交通機関の代わりにインフラを支える生活必需品になっており、地域の方々に寄り添って、クルマを提供し続けるのがわれわれの使命だ。

「安価で便利」が軽の命

――電動化によるコスト増で車両価格の上昇も懸念されます。販売現場への影響をどう見ていますか。

車両価格が上がると、購入意欲は低下し新車が売りにくくなる面はある。 軽自動車は安価で使い勝手がよくて便利だというのが命。広く、便利に、手軽に乗れるクルマを実現しようという中で、値段は上がってほしくないというのが正直なところだ。

――軽自動車は車両装備の充実などと共にただでさえ価格が上昇しています。

昔の軽自動車はエアコンもないし、先進安全装備もない状態だった。そこからニーズが生まれて新たにそうした機能が搭載されてきた歴史がある。

商品性とコストのバランスをどう取るかという戦いの中で悩み、努力を積み重ね、現在までユーザーに受け入れられてきたと思う。今回の政府目標では政策支援で研究開発を促し電池コストを下げる内容が盛り込まれているので、車両価格を抑えた形で電動化が進むことを期待したい。

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