ベンツが2030年にEVメーカーへ、その真意とは EVシフトの欧州と、HVの選択肢を残す日本の差

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日本メーカーではいち早くEVシフトを宣言したホンダ。社長就任会見で代表取締役社長の三部敏宏氏は、自動車メーカーとして、まずTank to Wheelでのカーボンフリーを達成するため、「先進国全体でのEV、FCVの販売比率を2030年に40%、2035年には80%」、そして「2040年には、グローバルで100%」を目指すと発表した(写真:本田技研工業)

日本では、ホンダがEVメーカーへの道を歩むことを明らかにした。ホンダの表明ほど全面的な移行ではないが、2010年からEVを販売してきた日産も車種の充実を進めていく。軽EVも、来年以降には発売になるのではないか。

すべての情報をここに網羅できてはいないが、いずれにしても2030~2040年までに新車の主力がEVへ向かっていく姿勢が世界各地で示された。その象徴にメルセデス・ベンツがなっていくのではないか。

国内には、EV一本に目標を絞り込むのではなく、ハイブリッド車(HV)を含めいくつかの選択肢を設けるべきではないか。また、水素を燃料とするFCVや水素エンジン車の可能性もあるのではないかと期待する声がある。

電気で走るEVとHVやPHEV、FCVの決定的な違い

また電動化という言葉にHVやPHEV、EV、FCVなども含めるとの解釈が浸透しつつある。だが、技術の側面から見れば、電力を貯めることを主目的とするEVと、エンジンによる発電や減速時の回生といった電気の充放電を主目的とするHVやFCVなどでは、バッテリー特性が異なる。

つまり、リチウムイオンバッテリーといっても、同じ仕様のバッテリーを使っているわけではない。ところが、バッテリーの原価を低減する第一歩は、製造工場において単一の仕様を100%稼働で生産することにある。新車販売の目標をEVに絞ることが適正価格でのEV販売につながることを意味する。

EVを目標に絞る形で邁進しようと決意した自動車メーカーは、いずれもリチウムイオンバッテリーを大量生産できるギガファクトリーの建設に躍起となっている。VWは240ギガWh(ワット・アワー)、ステランティスは260ギガWhを計画し、それらは400万~500万台相当のEV台数ぶんと試算できる。

ギガファクトリーの実力を証明する一例として、中国・上海でリチウムイオンバッテリー生産の稼働がはじまったテスラ・モデル3は、日本での販売価格を約80万~150万円も値下げした。これは、上海の工場がモデル3専用であることに加え、日本は中国の近隣であるという輸送距離の近さによる効果だ。逆にアメリカで販売されるモデル3は値上げになっているとのことだ。

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