レオパレス創業者が設立「MDI」不正融資の手口 預金残高を水増し、金融機関から融資引き出す
冒頭のメールは、こうした行為が2018年に複数の金融機関で発覚し、取引停止が相次いだことを受けたものだ。
MDIの一連の行為について、スルガ銀行の不正融資問題などを追及する加藤博太郎弁護士は「非常に悪質で、銀行に対する詐欺行為に当たる可能性もある。オーナーにとっても、不正行為に加担させられているうえに、返済できる金額を超えた過重なローンを組まされることにつながりかねない」と指摘する。
前払い家賃の支払いについても、「金融機関へ事前に告知していないなら、信義則に反する行為」と指摘する。
取引停止でマンション販売は困難に
残高操作を目的とした前払い家賃の支払いの有無や、金融機関との取引停止の事実関係についてMDIに尋ねた。広報担当者は「顧問弁護士に確認したところ、回答しないようにとの指示があった」と答えるのみだ。
金融機関からの取引停止によって個人投資家は融資を受けることができなくなり、MDIはアパートやマンションを販売することが難しくなった。そこで2019年5月、投資ファンドであるサムライ・キャピタル(東京・六本木)に、個人投資家向けに開発を進めていたアパート13棟を一括で売却することを強いられた。
2019年9月には、サムライ・キャピタルによる橋渡しで、ソフトバンクグループなどが出資する合弁会社にMDI株の80%を売却した。MDIはソフトバンクグループ入りし、同時に深山祐助会長は退任した。
しかし、前出の元社員によると、MDIの苦境は現在も続いているようだ。「ほとぼりが冷めたと思い、ある銀行に顧客向け融資を申し込んだが、通らなかった。代わりにゴールドマンサックスがMDIで物件を建てる投資家向けにノンリコースローンを提供しているが、(銀行融資が1%台であるのと比べて)金利が2~3%台と高く、実際の利用はわずかだ」
MDIはレオパレス21による施工不良問題の発覚当時、創業者が同じという点で白眼視されることを「風評被害だ」と反発していた。だが、コンプライアンスを軽視する姿勢はレオパレスと同じだ。業績改善のためには信頼回復が欠かせないはず。その第一歩が、過去の過ちを認め、説明責任を果たすことであるのは間違いない。
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