レオパレス創業者が設立「MDI」不正融資の手口 預金残高を水増し、金融機関から融資引き出す
「悪質なローン取次が疑われる、もしくは該当する懸念のある案件が複数発生しています。このような状況下で、抜本的な体質改善を行わなければ、私たちは、一企業としての存続そのものが危ぶまれる状況となっています」
2019年7月、全従業員宛に送られたメールには焦りがにじんでいた。メールの送り主は東京・銀座に本社のあるアパート・マンション建築請負「MDI」の井村航社長だ。
レオパレスとうり二つのビジネス
MDIは、業界大手のレオパレス21の創業者である深山祐助氏が設立した会社だ。深山氏は共済金の私的流用の責任を取り、2006年にレオパレス21の代表取締役社長を辞任、2008年にMDIを設立した。
MDIのビジネスモデルはレオパレス21とうり二つだ。地主向けに賃貸住宅を企画・開発し、建築後は物件を借り上げるサブリース契約を結んで管理を請け負う。加えて、MDIでは自社で購入した土地に賃貸アパートを建築し、個人投資家に1棟販売を行う「直売事業」(ランドセット)にも進出し、これが同社を急成長させた。
レオパレス21は賃貸アパートの違法建築問題が響き、2021年3月期には236億円の最終赤字を計上し、債務超過に陥った。レオパレス21と同根のMDIも経営難に陥っている。
MDIの業績はピーク時の2018年3月期に売上高1196億円、純利益63億円をたたき出し、株式上場に向けて準備も進めていた。だが、今やその急成長ぶりは見る影もない。直近の2021年3月期の売上高は439億円に縮小。最終利益は30億円の赤字となっている。
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