韓国の上場中小企業の2割が「限界企業」に転落 コロナ禍が経営直撃、借金増加で連鎖倒産の危機も

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コロナ禍以降、中小企業の収益性悪化と負債急増が、今後の韓国経済のネックになる可能性が高い。慢性的な限界企業や経営悪化企業の息を吹き返させる経営改革と支援がなければ、競争力のある中小企業さえ経営危機に直面するとの指摘が増えてきた。

韓国・資本市場研究院のファン・セウン研究委員は、「限界企業の経営改革と支援は必須だ。政府の中小企業支援策は、コロナ禍以前の経営状況が良好で、コロナ禍で急速に悪化した企業を中心に行うのが望ましい」と述べた。

「コロナ禍で売り上げが減少し赤字になった。オフィス賃貸料や人件費、光熱費は借金しないと払えない。足元で景気がよくなってきたが、金利が引き上げられたり、政府からの金融支援がなければ経営はさらに悪化する」

製造業企業を経営するB社長(64)は「政府が零細・中小企業と基幹産業が直面している現実を改めて直視してほしい」と訴えた。B社長の発言のように、コロナ禍で中小企業の負債が増加している。2019年まで経営が安定していたある医療機器メーカーは、2019年に4億ウォンだった負債が2020年に10億ウォンへ急増。利子費用も1年間で2倍に増え、利益で金融費用を支払えない限界企業となってしまった。

景気改善の兆しでも経営は厳しいまま

「ソウル新聞」の今回の調査は、コロナ禍による影響をそのまま反映した結果となった。大企業とは違い、中小企業の収益性と財務の健全性が2020年初頭から悪化し続けている。2021年第1四半期の経済成長率は1.7%と、景気回復局面に入ったとはいえ、状況は変わっていない。

大企業からの受注が大半を占めるメーカーのC社長(42)は、「IT業界の一部の中小企業はコロナ禍で成長しているが、大部分の中小企業は現状維持さえしんどい。消費が急減少し、生産も止まっている。事業を維持しようとすれば借金をするほかない。状況はよくなっていない」と打ち明ける。

2021年第1四半期に限ってみれば、コスダック上場の中小企業のうち、半分以上(308社、50.7%)が限界企業だった。超低金利で利子費用は低く、政府による各種金融支援がある状況を考えると、限界企業に転落目前の企業はこれよりはるかに多い。

韓国・ハンソン大学経済学科のホン・ウヒョン教授は「コスダック上場企業は総体的に経営状態が良好な企業だ。限界企業の比率が50.7%であれば、韓国国内の中小企業43万社のうち、限界企業の比率はこれよりさらに高くなる」と指摘する。韓国の中央銀行・韓国銀行によれば、2020年の外部監査対象法人企業2万5871社のうち、限界企業は34.5%。上場・未上場企業2520社では39.7%が限界企業だった。

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