韓国の上場中小企業の2割が「限界企業」に転落 コロナ禍が経営直撃、借金増加で連鎖倒産の危機も

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コロナ禍以前に経営がよかった企業が、限界企業に転落するケースも増えた。コスダック上場企業のうち、2019年に限界企業ではなく、2020年と2021年第1四半期に限界企業となった企業は122社。大部分が製造業だった。あるプラスティックメーカーは、「2019年まで18億ウォン程度の負債だったが、コロナ禍で輸出先がふさがってしまい、工場を動かす金さえ稼ぐことができなくなった。結局、借り入れを繰り返さざるをえず、負債は32億ウォンにまで増えた」と嘆く。

韓国銀行によれば、コロナ禍以前の2019年第4四半期(10~12月)の貸出増加率は11.0%だったが、2020年第1四半期には11.6%となり、2021年第1四半期には16.3%となった。中小企業の金融機関からの貸出残額は1193兆4000億ウォン。コスダック上場企業の中でも、2019年と比べて2020年の負債比率が高まった企業は286社と全体の47.0%となり、2020年より2021年第1四半期には328社、53.9%となった。

負債比率は2019年155.5%から200%超へ

コロナ禍以降、中小企業の半分以上が資産よりも借り入れが増えたことになる。こうした限界企業の負債比率は2019年の155.5%から2021年第1四半期に205.3%と急増している。

こうなると、中小企業の連鎖倒産の可能性が高まる。元金満期支払期日の延長と利払い猶予といった金融支援が終了し、金利の引き上げが本格化すれば、倒産へのカウントダウンが始まるだろう。借金で延命してきた限界企業だけでなく、一時的に経営が悪化した堅実な中小企業までも倒産の危機に直面する。

電子部品メーカーのD社長(49)は、「金利引き上げでまず打撃を受けるのは中小企業。売り上げが回復しない状況で、利子を支払う金がない。研究開発費といった他の費用を切り詰めるほかない。仕方なく借金したが、これがネックとならないか心配だ」と言う。

ソウル大学経済学のキム・ソヨン教授は「金利引き上げは、景気の回復局面に合わせて行われるであろう。一時的に厳しい企業に対しては、短期融資といった支援を行えるようにすべきだ」と指摘する。
(「ソウル新聞」2021年8月3日)

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