若いリスナー急増「ラジオ復権」導いた3つの要素 人気パーソナリティの番組分析でわかったこと
その理由のヒントとなるものがあるかと思い、冒頭で3つの番組を引用させていただいた。
コロナ禍で、人との接触は明らかに減っている。リモート出社、オンライン授業が当たり前となり、介護や医療の現場は疲弊している。テレビを見ても、その状況を伝えることが中心で、自分のほうを向いているようには思えない。しかもテレビは制約が多いからか、極端な意見が聞かれることは少ない。
SNSで簡単に人と繋がれる時代ではあるが、こちらはむしろ感情がむき出しになりがちで、注意して受け取らなければ、自分がますます疲弊してしまうことになりかねない。
本人の(文字通り)声がはっきり伝わり、メディアとしての適度なモラルが保障され、何より自分の心に接触して、語りかけてくれている気がする……こうした欲求に合致するメディア、それがラジオなのだ。
そして、これまでラジオに触れなかった人たちが、そのことに気づき始めたということだ。
本音と節度と距離感から生まれる信頼関係
そしてこの欲求は、送り手の側も同じように求めているものだと思われる。SNSでの発信はダイレクトかもしれないが、どんな人が受け取っているのかわからない部分も多い。しかしラジオなら、リスナーは最低限「自分のファンである」というフィルターにかけられているので、自分の声で素直な感情を伝えても、わかってもらえるよさがある。そして、メディアに乗るものなので、いい意味で緊張感を持って発言できる。
本音と節度と距離感の3つの要素、そしてそれによって生まれる信頼関係が、送り手と受け手に共有されているのが、ラジオのよさではないだろうか。それを伝える手段が「生の声」であるという点も大きい。
そのうえで、あらためて冒頭の3番組の発言内容を見ると、いずれも「結婚」という喜びの本音が、節度を持って、リスナーとの絶妙な距離で語られているように感じるのだ。
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