「Facebook卒業します」の背景にあるもの

ニュースフィードの「CNN化」にうんざり

Facebookはハレなのか、ケなのかも、人によって異なる。

米国内でも西海岸と東海岸で雰囲気が違う。西海岸に住む人からすると、東海岸の人たちは気取った投稿ばかりだと言う。大陸をまたいで東海岸の人からは、西海岸の人たちは家族と犬の投稿ばかりだと指摘する。善し悪しの問題ではなく、Facebookにおいてハレを重視する東海岸の人たちの使い方と、ケを共有したい西海岸の人たちとで、使い方が異なるだけだ。

日本だと、他人の前に出す話はよりハレの割合の方が多くなる。柔らかい言葉を使えば「リア充」でなければ投稿しにくい雰囲気があるというのだ。Facebookのアカウントを消さないが、積極的な投稿をしない、「卒業」というよりは「休学」気味の人に話を聞くと、伝えたい体験はあるが、投稿できない事情も介在してくると言う。

例えば、ビジネスミーティングで海外に行った際、「自分の職種」という前提があると、都市名だけでもどこの企業を訪問したのかが分かってしまうことがある。ましてや、相手の企業の社長がFacebookに投稿しているときに、タグ付けをしたり、同じ場所にいることを自分が投稿してしまうと、より明確にどこで誰と会っているのかが紐付いてしまう。

もしもその相手の企業とNDAを交わして仕事をしている場合、訪問している都市名や人名がわかることは、巡り巡って大きなリスクになり得る、というのだ。海外の素敵なレストラン、というせっかくのハレの体験であっても、業種の違う仲の良い友人に写真を見せたいと思っても、グッと気持ちを抑えざるを得ない。

その人は特別ではない日常しか公開できないことが、結果的にストレスにつながる。同時に、他の人の面白いハレの体験は次々にニュースフィードに流れてくる。このギャップが続いているうちに、Facebookから足が遠のいてしまったそうだ。

ニュースフィードの「CNN化」

別のFacebook卒業組の意見で多かったのは、ニュースフィード上で繰り広げられる議論に対して、同じ話題が繰り返し流れ続けることに対しての疲れを指摘する声だった。特に2014年は、原発、政治、経済、芸能などの大きなニュースが多く、また昨今台頭するバズ系メディアの記事や動画が大量にシェアされるようになったことも影響している。

筆者はこれを「ニュースフィードのCNN化」と名付けた。

米国でCNNを見ていると、マレーシア航空機の事故、ウクライナ、ガザ、ナイジェリアなど、少ないトピックにフォーカスして繰り返し報道を続けるスタンスだ。国際情勢を知る際に非常に有力なソースとなるが、四六時中CNNだけ見続けるのも疲れてしまう。まさにFacebookのニュースフィードも同じ状態なのだ。

ケーブルテレビの場合は、他のチャンネルに逃げることもできる。しかしFacebookは多くの人にとって、SNSとして唯一の存在になりつつあるため、逃げ場がないのだ。

同じ話題ばかりで見たくなくなったと話す30代前半の男性・女性は、年齢が自分たちよりも上の世代がこうした問題を投稿する際、自分の主張を強くアピールし、反対の意見を感想としてコメントすると、他の上の世代の人たちと一緒になって批判された経験を持っていた。あるいは筆者自身も、違う意見を「叩く」様子を見かけることが少なくない。

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