コロナ「抗体カクテル療法」有効なのに悩ましい訳 無症状者を大量検査であぶり出すのは可能なのか

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橋下徹氏(左)と黒岩知事(中央)、寺嶋毅氏(右)(写真:FNNプライムオンライン)
新型コロナウイルス感染再拡大を受けて、千葉、埼玉、大阪とともに8月2日から緊急事態宣言の対象区域に加わる神奈川県の黒岩祐治知事が、1日のフジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演した。
厚生労働省が先月特例承認した「抗体カクテル療法」と呼ばれる軽症者用の治療薬について、黒岩知事は「本当に期待していた。うれしいニュースだ」と承認を歓迎した。
一方で、「抗体カクテル療法は入院患者に打つので、自宅療養の人や宿泊療養の人にどうやって届けるのかは大きな課題だ」と指摘した。
番組レギュラーコメンテーターの橋下徹氏(元大阪市長)は、軽症者は入院させず、自宅療養を原則とするべきだと主張。
そのうえで、「自宅でも点滴ができるような新たな制度をつくるべきだ」と強調した。
番組では、神奈川県が試験的に導入する「抗原検査キットの県民への無料配布」についても意見の応酬があった。
黒岩知事は「体調不良のときに、体温計のようにキットを使って検査してもらい、陽性の場合に速やかに医療機関の受診につなげることが目的だ」と説明した。
橋下氏は、「症状がないのに積極的に検査をやり、陽性になることを求める人は少ない」と述べ、無症状陽性者による感染拡大は防げないのではないか、と疑問を呈した。
日本感染症学会の専門医で、東京歯科大学市川総合病院呼吸器内科の寺嶋毅教授は、抗原検査キットの無料配布は「陽性者の早期発見につながる」と評価した。ただ、「体調が悪い場合は、陰性でも安心せずに医療機関を受診するよう」呼びかけた。

抗体カクテル療法の活用について

以下、番組内での主な発言。

FNNプライムオンライン「日曜報道 THE PRIME」(運営:フジテレビ)の提供記事です

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):抗体カクテル療法は、軽症者が重症化しないように活用が期待されているが、軽症者がどの段階で重症になる傾向にあるかを見極めるのはかなり難しいという。医療現場でも「かなりハードルが高い」という声がある。この抗体カクテル療法を有効に活用するためにどういう判断基準を求めていくべきか。

神奈川県・黒岩祐治知事:この薬の開発を本当に期待していた。本当にうれしいニュースだ。神奈川県の場合、軽症、無症状の人は自宅か宿泊療養施設に入ってもらっている。抗体カクテル療法は入院患者に打つので、自宅療養の人、宿泊療養の人はどうするのか。打つためだけにその人を病院に連れていくのか。1人で動かれたら困る。感染者だから、自宅や宿泊療養施設でじっとしていただかなければいけない問題がある。では、医者が行って打つのか。入院でないとダメだということだから、医者が行って打つというのはまだ認められていないだろうし、どうやって届けるのかが大きな課題だと受け止めている。

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