コロナ「抗体カクテル療法」有効なのに悩ましい訳 無症状者を大量検査であぶり出すのは可能なのか
松山キャスター:神奈川県は新たな対策も始めている。
梅津キャスター:抗原検査キットを県民に無料で配布するというもの。期待されることとして、「家庭で使用することによる医療機関受診行動の促進」、「感染者の通勤・通学を防止し、感染拡大を防止するとともに偏見・差別を阻止」、そして「職場や学校に対する周知とともに、社会に対する啓発」、このようなものを挙げている。
抗原検査キットは感染拡大の抑止力となるのか
松山キャスター:抗原検査キットを希望する人に配ることは、実際に感染拡大防止に役立つのか。
黒岩知事:皆さんは、例えば、きょうちょっと熱っぽいな、具合悪いなという時どうするか。そのまま医療機関に「私はコロナではないか」と相談に行くかどうか。これについて「コロナLINEパーソナルサポート」という仕組みを使ってアンケートをしたところ、皆さん、「行かない」と言う。一方で、抗原検査キットを持ってもらい、ちょっと具合悪いな、と思った時に自分で抗原検査で調べてみて、陽性と出たときに、「あなたは病院に行こうと思うか」と尋ねたら、皆さん「行く」と言う。これはとても大事なことだ。体温計をイメージしていただきたい。なんか具合悪いな、熱あるのかな、と自分で計り、熱があれば医者に行こうかなと思いますよね。これを抗原検査キットでやろうということ。症状がある人にもない人にも抗原検査キット配ってやろうという話ではない。抗原検査キットを自宅に置いておいてもらい、具合が悪いかもしれないと思った時に自分で調べてもらう。そして医療機関につなげる。これをやると、おそらく新規の感染者は早めにピックアップできるのではないかと思う。いま実験的に始めたところだ。
橋下氏:僕は抗原検査を広げることは否定しないが、目的のところが混乱していると思う。1年半前、検査をやって、症状者をみつけて隔離をするのが感染対策の基本だとして、感染症の専門家や、そのほかいろんな有識者がとにかく「検査、検査」で隔離するということを言っていた。感染抑止ということを考えたとき、では、無症状陽性者はこの抗原検査やるのか。
黒岩知事:症状ある人だけだ。症状ある人が、自分でその時にその場で自分の家でぱっと計る。これを目指している。
橋下氏:それでは無症状陽性者の感染拡大は止められない。検査の目的はきちんと明らかにしなければいけない。症状ある人が自分の治療を早く適切に受けるために検査をやることには賛成だ。だけど、無症状陽性者を検査で見つけるなんていうのは不可能だ。中国のように、確か先日南京市で150人の感染者が出たとたんに、960万人の市民を一斉に検査やるわけだ。しかも、もう3巡目やっているらしい。こんなことは日本ではできない。だから無症状陽性者をあぶり出して、感染を抑止する、感染拡大を防止するということは検査では不可能だ。あくまでも症状が出た人が適切に治療を受けるための検査だということをはっきりさせないと、皆混乱する。
黒岩知事:私はそう言っている。皆にやるのではなく、自分で、きょうは熱があるかな、ありそうだな、という時に調べてみるということ。