バニラエア、奄美大島で上げる反撃ののろし これが「リゾートLCC」の目指すべき姿だ

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マングローブのカヌーツアー

筆者が奄美大島を訪れて感じたのは、海水浴以外にもマングローブのカヌーツアーや原生林のトレッキング、さらに夜の星座鑑賞など、夏以外でも楽しめる要素が数多くあることだ。

特に星座鑑賞は、真っ暗な海岸で目の前に無数に広がるリアルプラネタリウムに感動を覚えた。これだけでも見に行く価値があるほどだ。

今後に向けた焦点は、夏以外も楽しめる大自然の魅力をどのように消費者に認知してもらうか、である。奄美大島の最大の強みは、飛行時間の短さ。時刻表上は片道2時間半程度になっているが、離陸から着陸まで往路は2時間、復路は1時間55分で、沖縄より30分ほど短い。奄美空港到着後もレンタカーを借りれば即行動ができるので、ストレスは少ない。

そのうえ、運賃も9、10月においては、多くの日で片道8000~1万4000円程度で購入でき、魅力的だ。自然があふれる憧れの場所であることはわかっていながら旅費が高くて二の足を踏んでいた人が、LCCの就航によって気軽に訪れることができるようになった。その点で、バニラエアが就航した意味は小さくない。

今後は国際線の拡充に注力

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沖縄より短いフライトで大自然が満喫できる

同社は今後の展開として、国際線のネットワーク拡大に舵を切る。年内にも、LCCでは初めてとなる成田―香港線の就航などを検討しているもようだ。

関西国際空港から香港へ就航するピーチ・アビエーションは、就航当初から訪日外国人客(インバウンド)の利用を中心に搭乗率が高く、現在では毎日2往復に増便している。

ようやく、バニラエアが逆襲へ向けて動き出す状況が整った。石井社長は「定時運航」をキーワードに挙げ、安定した運航を実現することで利用者の信頼を獲得するというビジョンを掲げる。その効果は徐々に表れ始めており、定時出発率(出発予定時刻から15分以内に出発できた便の割合)は4月から3カ月連続で90%以上を維持している。

次なるステップは、リゾート路線、そしてインバウンド需要を見込む短距離アジア路線でさらなる存在感を発揮することができるかどうか。バニラエアの挑戦はこれからが本番だ。

鳥海 高太朗 航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

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とりうみ こうたろう / Kotaro Toriumi

1978年千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。食品会社、コンサルタント、城西国際大学観光学部助手を経て現職。専門は航空会社のマーケティング戦略。利用者・専門家の双方の視点から各社メディアを通じて情報発信をしている。

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