バニラエア、奄美大島で上げる反撃ののろし これが「リゾートLCC」の目指すべき姿だ
これまでに就航している成田―札幌、沖縄、ソウル、台北という4路線は、旧エアアジア・ジャパン時代から就航していた路線だった。
また、札幌と沖縄へはジェットスター・ジャパン、ソウルへはイースター航空、チェジュ航空(ともに韓国のLCC)、台北へはスクート(シンガポールのLCC)が先に就航しており、目新しさはなかった。
だが、首都圏と奄美大島を結ぶ便は、日本航空(JAL)が羽田から運航する(毎日1往復)のみ。LCCでは初となるバニラエアの就航はインパクトが大きかった。「バニラエア=奄美大島へ安く行ける航空会社」というイメージが少しずつではあるが浸透しており、同社の知名度アップにも貢献した。
課題は閑散期の利用者確保
順調な滑り出しとなった奄美線だが、この先も順風満帆が続く保証はない。夏休み期間中の海水浴シーズンである8月いっぱいは高い搭乗率が期待できるが、9月以降については未知数だからだ。
クロアチアのドブロブニクなど欧州のLCCにおけるリゾート路線の多くは、夏の期間は積極的に便を飛ばし、冬の閑散期には期間運休するケースもある。だが、成田―奄美大島線は年間を通じて運航をすることを地元(奄美大島)に約束したこともあり、閑散期の利用者確保が今後の大きな課題となる。
もちろん、バニラエアも利用者確保のために動き出している。石井社長は「ここまで奄美線には手ごたえを感じており、9月以降のオフ期に数字をしっかり出したい。スポーツ合宿での利用をはじめ、新たな需要を喚起する。年間を通じて8割の搭乗率を確保したい」と話す。
たとえば、ANAセールスが販売するバニラエアバケーションでは、40日前予約の早割キャンペーンをスタート。成田から往復の飛行機+ホテル2泊が付いて1万8500円からという破格料金のツアーを販売し、閑散期の利用者確保を目指す。現在、旅行会社のツアー向けに出している座席数は全座席の約25%程度だが、取り扱い額は順調に伸びているという。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら